バレエを練習するまでの気分のせめぎあい
バレエは楽しそうだ。
バレエ教室に連れて行かれた潤平は、都に押されっぱなしになる。
1、広いスタジオを見せられる。ーここなら好きなだけ跳びはねられる。
2、天才といわれる。ー可愛い女の子にめっちゃ尊敬される。
3、一緒に踊りたいといわれる。ー可愛い女の子からパ・ド・ドゥを踊りたいといわれる。
「コイツっ・・・俺のこと好きだろっ・・・!!!」
潤平は高揚する。
始める前からこんなにいわれたらバレエに期待してしまうわ。
「バレエなんてかんたんだっ!!!」
都の母が登場する。
バレエ教師だ。
潤平に見込みはないとあっさり否定する。
バレエを始めるには中二は遅すぎる。おしまい。
順当な意見だ。
衝動的に踊りはじめる潤平。
潤平の踊りはすごい(たぶん)。
でも都の母のいうとおり「バレエじゃない」のだ。
潤平は走ってスタジオをでていく。
「なんなんだバレエって!!!」
ほめられたり、けなされたりして潤平はいい迷惑だった。
広いスタジオで踊ったときの感覚が忘れられない。
すごく動けた。
ふたりとも自分を見てびっくりしていた。
それでも自分の踊りは全然だめらしい。
どうすればよかったのかわからない。
自宅に戻った潤平は、YouTubeをみて練習をはじめる。
深夜に秘密の練習を続ける。
「この子はものになるでしょうか?」
習い事をさせている親がよくする質問だが、
こんなの答えようがない。
知らんがな。
「ものになる」ってどういうこと?
プロになれるってこと?
プロもピンキリだ。
これで食っていける、人並みの生活ができるってこと?
人並みの生活ってどの程度の生活?
統計的にみて、バレエで人並みの生活はできない。
本人は、やむにやまれぬ衝動に押されて必死にやるだけだ。