子どもバレエ公演への意気込み
子どもバレエへ向かう車中で
潤平は気になる一言を聞かされる。
ここに行かされるのは
「期待されていないメンバー」たち!
綾子の条件、アンケートで
「また観たい」を120%以上とる
なんてことは果たして可能なのか?
そもそも100%以上をどうやったら取れるのか?
潤平の不安をよそに
団員たちは体育館で練習を始める。
天も紅乃もすごく上手い。
驚く潤平をワッシーが励ます。
「お前や若い子たちはむしろ
期待されているからこその採用だ!」
「舞台がダンサーを育てるからな」
「それに子どもの反応は素直でかわいいぜ」
潤平は、がぜん前向きになる。
「素直でかわいい」のは潤平のほうだ。
鑑賞会あるある
潤平は気合いが入っている。
自前でサンチョパンサの衣装を用意した。
大勢の小学生たちを相手に司会をまわす。
アドリブを入れて余裕の話しっぷり。
たじろがない。
こういうのが得意なタイプなのだ。
「今日、これを観て、
人生が変わってしまう子が
出てくるかもしれないんだ」
白鳥の湖がはじまる。
すぐに王子とオデットのパドドゥだ。
「モッコリ・・・!!」
男子どもの連呼である。
オデットをリフトするとすかさず
「パンツ・・・!!!」
がっくりである。
小学生はこういうことで盛り上がるのだ。
下ネタだいすき。
犬に負けた
ぶち切れた潤平は
子どもたちの視線を舞台へ戻すべく
アドリブで小学生に絡む。
「ジャリと何わざわざ盛り上がってくれとんじゃ」
「ワレコラ!なめちょるんけ、お?」
逆にダンサーから怒られる。
子どもたちはアンケート用紙を額にのせ、
プログラムを紙飛行機にして飛ばしている。
これが普通の小学生だ。
散漫な空気のなか必死で台本に戻る潤平。
最終兵器「ドンキホーテのグラン・パドドゥ」を紹介する。
ぜったい盛り上がるはずの演目。
しかし紹介したとたん
意外な敵に客をさらわれた。
犬が走り込んできたのだ。
体育館の中はおおさわぎ。
今日いちばんの盛り上がりだった。
舞台はそっちのけである。
「こんなもんだって」
天の言葉は納得いかないが、正しい。