名作文学にあらわれる社交ダンス
社交ダンスがもっともフューチャーされる文学は
文豪、谷崎潤一郎先生の『痴人の愛』だ。
マゾヒズム文学の代表作。
主人公の穣治(ジョージ)と奈緒美(ナオミ)は
ふたりでダンスを習いに行く。
この作品が書かれたのは、
社交ダンスが大衆化した大正時代だ。
谷崎潤一郎は当時の社交ダンスを
たっぷりともりこんで描いている。
大正時代の社交ダンス
きっかけになったのは慶応大学の
学生、浜田がである。
ダンス倶楽部を作ったので
ナオミを勧誘にきたのだ。
そして先生はロシア人女性。
ロシア革命を逃れてきた伯爵夫人だ。
ナオミはダンスを覚えダンスホールへ繰り出す。
踊る時は白足袋に「ダンスの草履」をはいている。
当時はダンスシューズが普及していなかった。
草履をカスタムして踊ったのだ。
社交ダンスに対する谷崎潤一郎の嗅覚
主人公ジョージは熱心にダンス教室に通う。
それには理由があった。
においだ。
「ダンス教室では他にも楽しみにしていたことがありました」
「香水と西洋人の腋臭の入り混じった甘酸っぱい匂いを嗅ぐことです」
(谷崎潤一郎 原作『まんがで読破 痴人の愛』69ページ)
パートナーと組むと、体と体の距離が近い。
ふだんよりも相手の体臭を嗅ぐことになる。
ダンス教師の体臭にひきつけられて
ジョージはレッスンを重ねる。
まさしく変態である。
意外なところから社交ダンスの楽しみを訴えられる。
口臭エチケット
実際に社交ダンスをはじめると
まず気になるのは口臭だ。
いままでなかった近距離に相手の口がある。
気になってダンスに集中できない。
不安を解消するためには、
定期的に歯医者へ行き
口のコンディションを整えておくのがよい。
虫歯をなくし、歯石をとってもらう。
塩の粒子を吹き付けて歯を白くしてくれるところもある。
白い歯は印象がいい。
とうぜん定期的に歯を磨く。
文字通りの自分磨きだ。