千鶴さんかっこいい
保護者たちが大挙して控え室にやってきた。
潤平をやめさせないなら、子どもをやめさせるという。
集団で。
バレエ教室には厳しい話だ。
ほぼ脅しである。
千鶴は謝罪するが、潤平をやめさせない。
「私には、彼を見つけてしまった責任があるんです」
かっこいい。
千鶴はバレエに誠実なのだ。
教室にくる女の子たちよりも、潤平を高く評価している。
みんなやめたとしても潤平が残ればよい。
バレエは素材が大事だから、潤平の体と感性は貴重だ。
千鶴自身がバレエに打ち込んで来たから
ぎりぎりの状況でこんな回答ができる。
「お前らしくしとけば大丈夫」
会場の外には兵ちゃんがいた。
「おもしろかったぜ」
「生川綾子も怖ぇからムキになってんだろーがよ」
巻き込んじゃえよと、潤平の背中を押す。
潤平は根本的に自信がある。
思い返してみても、今日の舞台は最高だったと思う。
それでも生川綾子の言葉は気になるのだ。
バレエってなんなんだ?
自分のやったことがバレエでないなら、なぜバレエをやるのか?
殴り込みじゃ
生川バレエスクールは,権力のあるところらしい。
五代バレエスタジオへ行かないよう通達を出し、
ほとんどの生徒が退会してしまった。
潤平はあせる。
スタジオを飛び出し、お母さん方に謝りに行く。
リーダー格のお母さんから
生川にコネのなくなった教室へは行かせない、
と言われ、潤平は決心する。
「俺っ、生川綾子さんに、認められてきますから!!!」
そして、るおうの部屋へ。
生川バレエスクールのサマースクールへ
るおうとふたりで飛び入り参加するのだ。
熱いわ。
「俺らのことを認めさせてやろうぜ」
サマースクールの最終日には、生川綾子から講評を受けられる。
るおうがいれば、なんとかなるか?