るおうを引っぱって
潤平は生川バレエスクールにきた。
るおうは引きこもりである。
外に出たくないのを無理やり連れてきた。
バレエスクールは豪華だ。
博物館のような建物の中にふたりは侵入する。
文字通りのポジション争い
男子生徒たちはすでに教室で待機している。
レッスン・スタジオには鏡とバーが並んでいる。
優秀な生徒は、鏡に近いところに置かれる。
あからさまな序列を見せて、
競争心をあおるのだ。
いちばん見所のあるやつがスカウトされる。
奨学金付きで、生川バレエスクールに入れる。
生川綾子は、レッスン前にスタジオに入って
生徒の目星をつけている。
目をつけられたのは3名。
寿(ことぶき):才能なし。親が金持ちなので寄付を期待。
大和(やまと):大柄。技術もあるが、スタイルに難あり。
海咲(みさき):才能あり。スタイル抜群。
いちばんの有望は海咲だ。
大和はサブ。寿は論外。
この3人が鏡前に呼ばれ、レッスンがはじまる。
まず綾子がレッスン前に生川の方針を伝える。
生川でやるのは「クラシック・バレエ」の正確な学習である。
道場破り
レッスン開始直前に潤平たちは乱入する。
クラスに申し込んでる訳でもなく、
スクールの生徒でもないのにいきなりである。
とまどうメンバーを前に潤平は宣言する。
「あなたの言う『バレエ』がっ、
それがなんなのか知りたくてきましたっ・・・!!!
・・・『アート』教えてくださいョ・・・!!!」
潤平たちはあっさり参加を許可された。
しかも優秀なものが置かれる鏡前を指定された。
太っ腹である。
講師が興奮している。
潤平たちのバレエへの資質は、
見ただけではっきりわかるらしい。
生川綾子は、潤平たちの身辺調査を指示する。
「二人共もらうわよ」
すべては計画通りなのか?