生ピアノでのバレエ
ジークンドー式に礼をして
レッスンを開始する。
潤平は嬉しい。
初めて生ピアノで踊るから。
しかも、ピアニストがうまい。
潤平は高揚する。
「光っている音の粒出すヒトじゃん!!」
よいピアノは1秒で分かる。
音質が違う。
それを感じ取る耳が、潤平にはある。
むちゅうで音を聴き踊ってしまう。
体の動きがピアノに反応する。
こういうのはピアニストも楽しい。
ピアニストのおばあちゃんは
横目で潤平を見ながら
潤平をこっそりノせていく。
音からズレてる?
しかし潤平は酷評される。
「音を聴きなさい」と注意される。
音は聴いているのに!
「ズレてるなんて言われたことねーし!!!」
わけが分からない。
講師からは、繰り返し同じ指示だ。
そのまま一番うしろへ行くよう言われた。
「お前へた」認定である。
また上にあがるには、
音の問題をクリアしなければ。
るおうも後ろへ落とされてきた。
うつむいてばかりで
まともに踊らないからだ。
クラスのはじめっから
いじめられっ子モードを発動して
声が小さい。
気のいい潤平
潤平はけなげにも
るおうを励まそうとする。
が思い直して、挑発する。
るおうは負けん気が強い。
バレエで負けるのは我慢ならない。
ほめるより突き放したほうが本気を出すだろう。
「お前ずっとアウェーにびびってここにいろよ」
るおうの表情がかわる。
・・・おっしゃ、巻き返すぞー
るおうは本気になれば
簡単にトップに立つだろう?
天才だから。
しかし、潤平は?
「音がずれる」原因を突き止め
修正できるのか?