社交ダンス

【ボールルームへようこそ ネタバレ】8巻35話

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たたらはしずくと対話する。

たたらは踊る。

踊ることで、自分を発見した。

思いもしなかった欲望が

自分の中にある。

「どんなダンスを踊りたいんだよ」

清春からはそう尋ねられた。

自分が何をしたいのか?

自分が伝えたいことを持っていなければ、

相手に伝えることなどできない。

どこまでも自分だ。

だがそれを知りたかったら

実際に踊ってみるしかない。

やってみてから

これはちょっとちがう、とか

こんなことがしたかった、とか

つかんでいくものだ。

ニワトリが先か、タマゴが先か?

自分を知るために相手と対話する。

パートナーは、はてしない対話相手だ。

えんえんと続く試行錯誤に

ふたりは向き合うことにする。

たたらと千夏の練習再開

合宿3日目の夕方。

ようやくカップル練を再開だ。

ストレスの重圧は以前のままだ。

A級の大会で優勝しなければならない。

本番まであと1週間ほど。

自分たちは明らかに力不足。

土壇場で新しい足型を与えられ

短期間で体になじませなければならない。

ハイレベルな競技者たちに囲まれ、

自分たちの至らなさを痛感させられながら

逃げることはできない。

千夏は遠慮なくたたらに突っ込む。

たたらも激しく言い返す。

険悪なムードだ。

もうすさまじい口げんかになっている。

ふたりのトゲトゲしさにガジュたちがひいている。

「協調性のカケラもないおどりではあるけれど」

「やっと同じ方向を向き始めてきた感じ」

マリサ先生は、さらに課題を追加する。

大会ではヴィエニーズワルツを加えて

スタンダードは5種目踊らねばならない。

間に合わない。

絶望的な状況で練習を続ける。

「ずっとピリピリして」

「空気悪いったらないです」

釘宮にまで言われてしまった。

あっという間に合宿は終わった。

東京都民DS大会がはじまる。

合宿から帰るとさっそく大会だ。

もう逃げられない。

会場に入り着替える。

たたらは白シャツをきて蝶タイを締める。

自分の燕尾服も作った。

いや違った。

仙石の燕尾服にたたらの名札をだけだ。

まともな燕尾服はめっちゃ高い。

千夏がたたらのマユを書いてくれる。

戦闘開始。

明たちも出場する。

勝つ。

明を含め全員に勝つ。

「背筋が凍って寒いったらないわ・・・」

千夏がつぶやく。

おおぜいの人間の前で

品定めされて視線で殺される。

たたらも同じ感覚を味わっている。

「血が冷える感じ」

予感で体が冷たい。

自分たちは優勝するのだ。

たたら組は底辺。

カップルを組んだばかり。

D級になったばかり。

無名。

だが優勝する。

「ここのやつら1組残らず捲るわよ」

千夏が宣言する。

お前ら全員やってやる。

 

戦いのはじまりである。

 

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