宝生の魔法のような誘導で
うかうかと「バレヱ部」に
巻き込まれたふたり。
いまでもやっぱり
バレーボールをやりたい。
せっかくの高校生活を
得体のしれない活動に
費やすわけにはいかない。
さっそく「バレヱ部」をやめようと
それぞれの決意を秘めて部室にきた。
梨鈴と桔平はドアの前で出会う。
お互い退部するつもりだ。
桔平の退部撃破
宝生はいきなりドアを開けて
ふたりの度肝を抜く。
「遅いじゃないか二人とも」
「待ってる間退屈すぎて思わず
グランピルエットで300回転してしまった」
宝生は回転しながら
廊下から部室へ退場する。
「回りすぎだよ」
「廊下で回るなこのバレエ馬鹿」
思わず突っ込んでしまったが
桔平はひるまず退部を申し出る。
宝生は桔平の言葉を中断して
いちばんの弱点を攻撃してきた。
「お母さんは元気か?」
桔平の弱点はお母さんだ。
お母さんはややこしい。
桔平がバレエを辞めたことを知れば
ドラマチックに悲しむ。
ショックのあまり
紅茶のカップを落として
お遍路の旅に出てしまう。
そういう人だ。
めんどくさすぎる。
宝生はお母さん経由で
桔平をコントロールする。
「お母さんは僕が説得しよう」
宝生とバレヱ部で練習していれば
お母さんは喜ぶだろう。
ひきょうなやり口である。
しかし桔平は確保されてしまった。
役員選出
つづいて宝生は「バレヱ部」の
役員選出に話をうつす。
部長は宝生。
雑用係は桔平。
練習係は梨鈴。
梨鈴は退路をふさがれてゆく。
退部できない。
取り調べのコントをはさんで
ちゃくちゃくと「バレヱ部」が出来上がっていく
コンクール禁止
宝生がテンションをあげて
「バレヱ部」の決まりを宣言する。
それは「コンクール禁止」の1項だ。
真に美しい心を持つものだけが
真のバレエを手に入れることができる
よって僕は競わない
宝生の身振りが高ぶって止まらない。
バレエ的な演技なのか
演劇的な表現なのか
桔平をつかんで激しく訴える。
危険を感じた梨鈴がフォローをこころみる。
「そうよね。時代はナンバーワンより
オンリーワンが主流だし」
いい加減なフォローだ。
だが宝生は、全身で賛同する。
我が意を得たり。
こうして梨鈴も部員として確保された。
宝生は次の重要ミッションに移行する。
「ここからが本当のバレヱの時間だ!!」