サシュコーからブランコへの想い
サシュコーはニコラス・ブランコに特別な想いをもっている。
昨年1位をとったYAGPに再度エントリーしたのは、ブランコに師事するため。
サシュコー自身はすでに良い学校にはいっているが、その上ブランコから教えを請いたいのだ。
サシュコーの計画をオルガ先生はやんわりと否定する。
むかしのブランコはもういない。
すでに良いキャリアを歩みはじめているサシュコーが、あらためてブランコに教わる必要はない。
日本勢と海外勢の差
多原田さんと寿、潤平の3人はプリコンペティティブ部門を見学する。
9~11歳の部門だ。
日本勢は上手い、鍛え込んでいる。
それに対して海外勢は「スタイルがいい」。
いまこの時点では日本勢のほうがインパクトのある演技を見せられるかもしれない。
技術的に海外勢のほうは劣るかも。
それでもスタイルの良さは何者にも替えがたい。
のびしろが大きいのだ。
学校で教えれば技術は良くなるが、持って生まれた体格はどうにも修正が効かない。
今すぐ使えるダンサーと、大化けする可能性のあるダンサー。
どちらをとるのか悩ましいところだ。
「海外勢は、妖精でした・・・」
「もう人外」
大原田さんが感動する。
優れた素材を目の前にみると、圧倒される。
YAGPの参加目的
大原田さんが取材を続ける。
日本事務局のスタッフさんから予備知識をしいれる。
サシュコーがYAGPに再度エントリーした背景を知りたい。
スタッフさんからきくとまた別な側面も見えてくる。
サシュコーの目的は、去年のがした「GRAN PRIX」を取ること。
もしくはどこかの団に入団を目指しているのかもしれない。
YAGPは就職活動的な面が強い。
グランプリが取れれば、確実なアピールポイントになる。
潤平と寿はカフェでおしゃべりしている。
潤平のほうはスカラシップの希望を出していない。
海外の学校に行くことはない。
綾子さんと約束したからだ。
現状「ドヤるため」に参加している感じ。
潤平が入賞して、生川バレエ学校のレヴェルの高さを世界に見せつける。
「そんな期待してくれてんなら!!」
「綾子さんをドヤらせたいぜっ・・・?!」
潤平は素直である。
しかし潤平は気になる。
サシュコーの行ってるジョン・クランコはいい学校なのか?
・・・めっちゃいい学校だ。
・・・世界最高の環境がある。
寿は熱く語る。
世界レベルで見れば生川バレエ学校よりはるかに格上だ。
YAGPで潤平を倒して1位になった幹太はジョン・クランコにいった。
綾子さんの野望は大きい。
・・・生川を世界的なバレエ団にする。
その手段が潤平なのだ。
サシュコーのコンテ
寿はしゃべりながら、サシュコーの動画を発見した。
踊ったばかりの予選がさっそくアップされている。
今年はまったく雰囲気が変わっている。
打ち込み系の音楽で登場してきた。
「・・・すっ」
「げっ・・・」
潤平は言葉を失う。
はやい、うまい。
ボイスパーカッションが入ってくる。
昨年とはまったく違うテイスト。
おしゃれで明るい。
「これだけ速いなかに緩急つけて、完ぺきなコントロール」
「それでいてこれみよがしな身体能力見せつけとはまったく違う」
ただただカッコイイ・・・
予想外のものをみて潤平は愕然とする。
これはどうなるのか?
潤平とは正反対の方向性だ。
コンテの審査はむずかしい。
客観的な点数などつけられない。
審査員の気分の問題がおおきいかも。
昨年はシリアスなやつが1位になったから今年は明るいのがいいんじゃない?
みたいなことが起こるかもしれん。