ダンスバトル:ワンダさんのターン
マッチンの挑発的なダンスに続いてワンダさんが踊りはじめた。
ワンダさんはマッチンの流れにのらない。
逆に音楽だけを見ている。
マッチンを無視しているようにも見える。
Little Simz-might bang,might not(リトル・シムズ)はまだ続いているのか。
ドラムの音ひとつひとつに身体が反応する。
シンバルの細かいきざみにも対応している。
テクニカルな動きをしながらも、
ワンダさんの身体は音楽に敏感にシンクロしている。
マッチンとは正反対のやりかただ。
マッチンはファンキー。
「音取りは雑だが熱量がある」
アイドル的な顔とスタイルで会場の期待を集めるワンダさんへ対抗するため
マッチンは、あえて挑発的なスタイルではいってきたのかもしれない。
マッチンのムーブ
マッチンの番にかえってきた。
音楽がかわる。
曲はRatatat:Sevevteen Years
昔のテレビゲーム風のでどこかなつかしい。
エレキギターとシンセサイザーと打ち込みの音。
スムースで快適。
マッチンのダンスが変わる。
おなじ人間が踊っているとは思えない。
「ペース崩したな」と伊折先輩の評価。
恩ちゃんの意見はちがう。
「ワンダのムーブがあまりに『音に誠実』だから
自分も交流モードに切り替えたんだと思う」
マッチンとワンダさんのあいだに
ダンスの対話が発生している。
あくまで勝負として踊り始めたマッチンに
ワンダさんは別次元の世界を投げかけた。
マッチンはワンダさんの問いに答えている。
カボくんが嫉妬するダンスの対話
ワンダさんのバトルをみて
カボくんは心が波立つ。
自分はワンダさんのことを何も知らない。
ワンダさんはカボくんの領域に踏み込まないし
カボくんもワンダさんの中に踏み込むことをしなかった。
いっしょに踊れてさえいれば
カボくんとワンダさんは特別な関係だ。
学校でならワンダさんが男子と何をしようが気にならない。
しかしダンスバトルだと気持ちがグラグラする。
ワンダさんがほかの男と踊るのをみて
カボくんは不安になった。
・・・相手のダンサーがうらやましい。
自分とワンダさんはどんな関係なのだろうか?
バトル会場にいるワンダさんを見ると
整理のつかない感情が湧き上がってくる。
奪い去りたくなる。
カボくんは自分の気持をもてあます。