2回戦で服がボロボロになる壁ちゃん
壁ちゃんと伊折先輩は順当に2回戦を勝ち抜けた。
だけど壁ちゃんのほうはテンションがとんでもなく上がっている。
「身内相手にちょっとアグレッシブすぎね?」
アグレッシブ=攻撃的。
壁ちゃんは口もきかない。
2回戦の相手は同じチームの仲間だったが
徹底的に打ちのめすスタイルにもみえる。
そしてなぜか壁ちゃんの服がボロボロだ。
胸のところのジャージが横に裂けて中が見えている。
何をしたらそんなところに穴が空くのかわからない。
この調子で踊り続けたら、服がずたずたに消滅するんじゃないか。
黒マスクとキャップだけしか残らない。
壁ちゃんはこのうえなくマジである。
負かしたチームメイトを真っ直ぐ見つめる。
眼をそらさない。
壁ちゃんはカボくんを思い出しているのだ。
カボくんは2回戦を勝ち抜けるつもりでいる。
そして壁ちゃんとバトルする。
カボくんは壁ちゃんにも勝つつもりでいるのだ。
できるかどうかはわからないけど、全力であたる。
カボくんは自分自身のことしか考えていない。
というかダンスに集中している
素のままのカボくんに、壁ちゃんは触発されている。
2回戦の相手ココロ
カボくんが2回戦で戦う相手はココロちゃん。
宇千くんと同じ昌谷高校のダンス部員だ。
名前がかわいいのに、ココロちゃんはいかつい。
見た目は40歳のおっさんだ。
試合前のあいさつを交わす二人。
ココロちゃん:よろしく
カボくん:・・・っ、す・・・・・・
(訳:よろしくおねがいします)
ココロちゃんはカボくんを相手にワンダさんをほめる。
ワンダさんの2回戦はとても良かった。
勝負には負けたけど、ワンダさんはめっちゃ認められている。
ココロちゃんの言葉で、カボくんは初心に帰る。
バトル前はちょっと自信があった。
もしかしたら自分が天才ともてはやされるかも、
ぐらいにカボくんは期待していた。
ところがカボくんは予選でいきなり落ちた。
圧倒的に素晴らしかったのはワンダさんのほうだ。
「舐めていた」
「それは俺が弱いからだ」
練習で大量にストックした「かっこいい動き」を
実践にそのまま活かせるほどバトルは甘くない。
カボくんは自分自身にかえる。
バトルの場にいるのは生身の自分だ。
音楽と自分のみに集中する。
クラブのでかいスピーカーから音楽が流れ出す。
観客も、ココロちゃんも、アッセイさんもカボくんを見つめる。
見られているのは、カボくんという人間そのものだ。