イノシシとの対決
翔之助の祖先らしき男が踊りを続ける。
彼の踊りは宗教儀式だ。
踊る男にむかってイノシシが突進してくる。
なぜだかわからないがイノシシは殺気をおびている。
イノシシを怒らせる仕掛けが込められているのか?
男はイノシシの縄張りをあえておかしているのかもしれない。
イノシシを挑発するにおいを発しているかもしれない。
大きなイノシシは満身の怒りをこめて男におそいかかる。
男は手の中に刃物をにぎりこんでいる。
よく見ると金属製の刃物ではない。
黒曜石の石器だ。
腰をおとしイノシシと正面から相対する。
男とイノシシは見つめ合う。
イノシシが叫び、男も叫ぶ。
「かつて人には神の声が聞こえた」
男にとって、イノシシは神である。
男は神と相対しているのだ。
すれ違いざま黒曜石の刃物をイノシシの頚動脈にさしこむ。
これは狩りではない。
人間と神の交流だ。
たくさんの天皇たち
むかし天皇はたくさんいた、という。
大和朝廷が確立する前は、多くの天皇がいて
あとからきそいあうようになった。
現在の天皇がいきのこったのはたまたまにすぎない。
経済力と支持者の数で競争に勝っただけ。
もともと天皇陛下が偉かったわけではない。
他にもあがめられる数多くの神々がいた。
翔之助のルーツは、古い神をまつるシャーマンだった。
翔之助の祖先
イノシシを倒したあと男はボートをこいで離れ小島にむかう。
島に社(やしろ)があるのだ。
中には古い神がまつられている。
神のデザインがかっこいい。
『風の谷のナウシカ』の巨神兵のような
『シン・ゴジラ』の最終形態のしっぽのような姿。
土偶ふうにうずまきの文様が体をいろどっている。
翔之助の祖先である男は
おおきなイノシシの頭部を三宝にのせて
古い神にささげる。
ドラゴ赤太郎はイノシシか
ムラサキと翔之助たちは群舞を続けている。
ドラゴ赤太郎は翔之助をめざして突進する。
何が赤太郎を挑発しているのかはわからない。
古代のイノシシの神と同じだ。
踊る翔之助におそいかかる。
右ひじをまっすぐ翔之助の顔面へうちこんだ。
打撃音とともに翔之助は後ろに飛んでいく。
わけがわからない。
群舞のさいちゅうになぜ、対決がはじまるのか?
創作ダンス部の体験入部ではなかったのか?
黒飛もソラもムラサキも
ヨガノ先輩もマリンちゃんも固まった。
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