ドラゴ赤太郎の打撃
赤太郎のヒジ打ちをうけて翔之助は飛んでいく。
手のひらでショックを受けて止めていて
ダメージはたいしたことないらしい。
安定した姿勢で着地する。
なぜか翔之助がめっちゃ美男になっている。
髪の毛が流れて日本画の雲のようだ。
赤太郎は翔之助を休ませない。
間髪をいれずかけよって前蹴りをはなつ。
古代のイノシシの神の目と
赤太郎のまなざしが重なる。
翔之助から目をそらさない。
翔之助は体を後ろへそらして赤太郎の前蹴りをかわした。
体を回転させて、赤太郎はふたたび蹴りをいれる。
足底で踏み込むような回し蹴り。
翔之助は姿勢を低くしてガードする。
ソラの抗議
赤太郎はあくまで真剣である。
「三度、本気で打った」
「それでも倒れないのは流石だな」
赤太郎は武道で翔之助とむきあっている。
ソラが抗議する。
ダンスの練習をしていたはずなのに赤太郎が殴りかかってきた。
これは暴力だ。
生徒会長のマリンちゃんは赤太郎を止めるべきだ。
理性的なツッコミだが、今の状況を正確にとらえていない。
ソラもそんなことはわかっている。
ダンスも武道も宗教もまじりあったカオスだ。
早めに止めておかないと暴走がはじまる。
ソラは命綱の役割を果たそうとしているのだ。
翔之助たちが社会のルールから飛び出していってしまわないようにしたい。
だからあえてレッテルを貼ってストップさせようとする。
「これダンス?」「暴力だよね」
「ダンスでいい」
翔之助はこの先を続けたい。
ドラゴ赤太郎との真剣なコミュニケーションを深めたい。
翔之助は答える。
「ダンスでいい」「続けよう」
ダンスと言う言葉をあえて拡大解釈する。
武道もダンスのうち。
宗教すらダンスのうち。
翔之助は赤太郎に問いかける。
お前はブタか?
それともイノシシか?
家畜として生きるか戦士として生きるか。
翔之助は本気になる。
ムラサキにお願いをした。
「もしもの時は止めてほしい」
「荒ぶる神が降りてくる」
「お前にしか無理かもしれない」
赤太郎はブタではなくイノシシだ。
古代に生きた祖先と同じように。
翔之助は赤太郎と対決する。
勝てば赤太郎を神に捧げるだろう。
|