宗教、格闘技そしてダンス
風紀委員のドラゴ赤太郎から本気の攻撃をうけ
翔之助はトランス状態に入った。
翔之助にとって武道とダンスの区別がない。
本能にしたがって動いているだけ。
翔之助は極端に低い姿勢でドラゴ赤太郎に突っ込んでいく。
ダンスを踊るかのようにドラゴ赤太郎を攻撃する。
常軌を逸して速い。
赤太郎は息をつくヒマもない。
「翡翠翔之助、貴様」
「今」
「正気なのか」
「神懸り」とはなにか
ここで厳男子(きびだんご)先生の解説が入る。
生理学者ベンジャミン・リベットの発見
「意識の主観的な体験は現実の知覚よりも0.5秒遅れる」
私たちが受け止める現実は実際より遅い。
より早く反応したければ「神懸り」になる必要がある。
意識が知覚を加工する前の生データを処理するために
正気を失い
意識を失い
記憶を失くす
翔之助は神懸り状態だ。
脱力した口からよだれがたれている。
無心に踊り続ける
翔之助は何も考えない。
そのおかげで早く動ける。
ダンスを踊るように赤太郎と動きをあわせる。
突きをかわして背中を向け
ふところに飛び込んで赤太郎の腹へヒジを入れる。
攻撃する意図もあるかないかわからない。
すべてが無意識の動きだ。
「神懸り」
流れに従って純粋に反応している。
赤太郎を背中にしょった状態で右足を振り上げる。
振り上げた先に赤太郎の眉間がある。
翔之助の体は常識をこえて柔軟だ。
運命のように翔之助の足先は眉間にはいった。
赤太郎が白目になる。
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