ワガノワ・プリとは・・・
るおうはワガノワ・プリに出ていたらしい。
一流のダンサーになるため、
最短の抜け道を進んだ。
ワガノワ・バレエ・アカデミー主催のコンクールである。
そこで優秀な成績を残した生徒が出場する。
例外的に学外の著名な教師から
推薦を得て出場するものもいる。
ここで成績を残せば、
とうぜんワガノワに入学。
ロシア・バレエの歴史そのもののようなエリート校である。
卒業後は一流バレエ団入り、という進路がみえる。
一足飛びにトップへ登れる。
潤平は後ろへ置いて行かれてしまった。
YAGPは、アメリカ主催のコンクールで
優秀な成績を残したものには、奨学金を出したり
世界各地のバレエ学校やバレエ団へ推薦してくれたりするが
ワガノワ・プリほどのブランドはない。
取り残された。
しかも潤平はまだ日本予選だ。
性格が良いと、登り詰めるのはむずかしい?
女子の審査後、潤平たちはファミレスに集まる。
夏姫は悔しがる。
ワガノワ・プリ出場なんてずるい、と。
それから自分の出来を振り返って悔しがる。
クラシックはうまくいったが、
コンテンポラリーがだめだった。
うまく踊れなかったと、テーブルに伏して落胆。
潤平に冷水を吹きかけて当たり散らす。
都は夏姫をなぐさめる。
コンテンポラリーも素敵だった、
わたしうっとりして見てた、
みんなもそう思ってるよと。
都は良いやつなのだ。
潤平とは大違い。
自分を犠牲にして人に尽くしてしまう。
素直に相手をほめてしまう。
レッスンで場所を譲ってしまう。
自分のレオタードを貸してしまう。
お人好しである。
ジゼルのような性格。
バレエでは裏目にでる。
本番に弱いのだ。
結果を得るには、野村幸代のような強さが
細木和子のようなずうずうしさが必要なのだ。
潤平には都の優しさが歯がゆい。
都のよさがわかり、
好きでたまらないからこそじれったい。