腹黒王子
今回はずっと海咲メインの回だ。
海咲視点でストーリーが進む。
モテまくる海咲
海咲はモテる。
バレエでも学校でも。
調理実習をした先輩から
クッキーをもらったりする。
モテる男子の青春あるあるだ。
海咲は演技する。
「うわっ!うそやん!美味っ!」
「えっ!先輩料理もいけるんや、意外」
愛想よく食べて受け取るが、クッキーは即ゴミ箱行きだ。
本当は食いたくもない。
海咲の自己評価
意外なことに海咲は自己評価が低い
自分は天才ではないと、はっきり思っている
人より小賢しいだけ。
必死に考えて才能ある振りをする。
回転が力強くないから、
美しく見せるよう工夫する。
ジャンプが高くないから
滞空時間が長く見えるよう補う。
冷静に客観的に自分を見つめている。
よいところを他人から取り入れて
自分から湧き出たかのように演出する。
当たり前のことを着実に行う。努力の人だ。
動物ぎらい
海咲は動物が嫌いだ。
生まれっぱなしみたいな無神経さが
海咲には理解できない。
人に愛されるためには、
愛されるように自分を整える。
「どこかにこのままの僕を
受け入れてくれる人がいる」
そんなありがちな幻想を持たず、
着実に実績を積み上げる。
潤平とは真逆だ。
だから海咲は、本能のままに振る舞って
愛される潤平が嫌いだ。
響への思い
だが意外なことに海咲は響を尊敬しているのだ。
本物の天才だから。
「あんまりにも本物やったから」
「ステージの違う、ケタ違いの輝き」
「なんて純粋で美しく、芸術なのか」
役作りのために
王子を演じているだけではなかった。
響に近づくため、海咲は懸命に努力していた。
響から夏姫へのパートナー交換を提案されて
海咲の気持ちは揺れる。
客観的には夏姫のほうがいい。
バレエ団内の人脈をつなげるために願ってもない話。
体格的にも夏姫とのほうがバランスがいい。
しかし響の踊りが頭に残っている。
本物の天才。
「あの輝きと、踊れたら」
「どんな景色が見れたんやろか」
響を思いながらバス停で踊ってしまう。
あの海咲が。
根本にはバレエそのものを追求する気持ちがある。
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