なぜ人を愛するのか?
それは世界とつながりを持ちたいから。
タンゴを踊ることで、壁を乗り越えコミュニケーションできる。
「これはね ダンスという表現を使った
リアルタイムの会話なんだよ」
(岡田屋鉄蔵『タンゴの男』)
社交的だけど孤独
タンゴダンサーのアンジー(男)はもてる。
たくさんの男性に愛されるのに、長続きしない。
アンジーの踊るタンゴは情熱的だが
「昔の恋人たちになりきって彼らを演じているだけ」で
その情熱は自分のものではない。
自分の孤独を理解する相手が見つからない。
そこにヒロが現れた。
「あの男 踊らせてみたい」
ヒロは、お堅い社会人だ。
柔道全国大会で優勝経験あり。
セクシーな恋人(女)に浮気されても
冷静に対処し、あっさり別れる。
だが誰にも明かさない孤独を抱えている。
南米コロンビアから父方の祖父に引き取られ、
日本で過酷な仕打ちにあった。
母と別れ、祖父の体罰、祖母の暴言、
クラスメートからのいじめ、教師たちの無関心。
そのなかで必死に生きてきた。
過去のトラウマにふたをして平然と生きている。
コミュニケーションが喜びになる。
アンジーは、ヒロとコミュニケーションする。
はじめに言葉で、そしてダンスで、最後は性的に。
そしてアンジーは、新しい踊りのイメージを得る。
新作発表の舞台へ上がるところで物語は終わる。
タンゴはむかし男同士で踊られていたという。
ペアダンスの大事なところがコミュニーケーションだとしたら
男どうし、女どうしで踊るダンスがあってもいい。
ウォン・カーウァイ監督の映画『ブエノスアイレス』では、
トニー・レオンとレスリー・チャンがタンゴを踊る。
きれいだった。