社交ダンスの理想と現実
法規制の問題
「社交ダンス場はね 今のところ風俗営業あつかいなんだ」
(名香智子『パートナー』文庫版108ページ)
ダンス教室を逃げ出した茉莉花(まりか)は神(じん)に再開する。
競技ダンスのパートナーになるよう誘われた。
母親からも教養としてダンス習得を命じられ、
父親を相手に、ウィンナーワルツと
クイックステップを練習する。
そしてダンス競技会をみにでかけ、
そのまま出場を申し込んだ。
きれいな衣装を着て
踊るのが楽しくてたまらない。
競技会も順調に勝ち抜いて勝ち残るが、
問題が発生し
棄権しなければならなくなった。
茉莉花はまだ17歳。
未成年だったのだ。
いまだにつづく風営法の規制
日本ではダンスはいかがわしいものとしてみられてきた。
男女がペアになって踊ることじたいが問題で
いまでも取り締まりの対象だ。
2012年4月に、大阪のクラブ経営者が
客にダンスを踊らせたと逮捕されている。
2016年6月に最高裁判決がでて無罪となったが、
男女がペアになる踊りではなかったから、
というのがその理由だった。
つまり社交ダンスはいまだに規制対象とみなされている。
映画で見る舞踏会は、ヨーロッパのもの
日本での社交ダンスは、水商売から抜けられていない。
だから「競技ダンス」というかたちをとる。
イギリス的な真面目さをまとうことで、
社会に認められようとしている。
ペアダンスのおいしいところは、
二人の人間のやりとりだが
秘めやかなやり取りは、
見る人の気持ちをさわがせる。