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【#10ダンス #ネタバレ】#3巻#15話

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黒いドレスの謎

深夜のバーで鈴木とふたりきりになった。
黒いドレスの女は誰なのか、
杉木はていねいに語り始めた。
あれは房ちゃんだった。
しかし房ちゃん本人にも記憶のない
異常モードの房ちゃんだ。

黒いドレスの女は1日だけ現れた。
4年前の世界選手権大会のときだ。
カップルを組んで日も浅く
緊張感で張り詰めているなか
ひどい転倒事故にあった。

準決勝のクイックステップで
房ちゃんは巻き込まれて
ドレスをひっぱられた。
そのまま動けなくなった。

人形のようにピクリともしない。
ストレス障害が発症した。
以前も同じような惨事に巻き込まれたことがあり
トラウマがよみがったのだ。

杉木の本質

それでも杉木は試合をあきらめない。
固まった房ちゃんを踊らせる。
顔が蒼白になっているのに合わせて
杉木が化粧をなおした。
「リップの色が合わない・・・」

黒いドレスを着せたのは
血の気を失った房ちゃんを美しく見せるためだ。
まるで人形を着せ替えるかのように
ドレスを着替えさせ、化粧を整えた。

「ちょっと人間離れして見えるくらいキレーだった」
アキが言った感想は本当だった。
心神喪失状態でまさに人間として反応しなくなっていたのだ。
杉木は房ちゃんをどうしても試合にだす。
あきらめずに踊らせる。

通常なら不可能。
しかし杉木はやった。
「彼女を叱責し罵倒し続けたんですよ」
「動かなくとも声に反応して表情を作り」
「足は怖れで意のままにステップを踏みつづける」

徹底的な支配者があらわれた。
杉木自身も気がついていなかった人格の一面だ。
強烈な意志で身体を徹底的にコントロールする。
「その日の協議が終わるまでずっと責め続け」
「その状態の彼女を気に入ってしまったんです」

「人形のように言うことをきくパートナー」がベスト。
つきぬけてしまった。
ある意味、社交ダンスの極み。
杉木はみずからの本性に出会ってしまった。
自分は「『紳士』とはほど遠い」

鈴木の反応

杉木のいびつさが、鈴木に見えてきた。
純粋なダンス・マシーンだ。
生まれたときからダンスのエリートとして育てられた。
世界の頂点を目指すために圧倒的な努力を重ねた。
人間らしい感情を殺して、自分に負荷をかけつづける。
その結果おそろしい怪物になった。

鈴木とは正反対の性格だ。
鈴木ののほうはあくまで天然。
心から湧き出る感情のままに踊る。
技術は後付けだ。
体の根本に無邪気さがあって、
生きる喜びをまっすぐに出してくる。

杉木の話を聴きながら鈴木は思う。
「俺が潰してやる」
ラテンの世界王者をとり、10ダンスに出る。
そこで杉木をたおす。
10ダンスに引きこんだのは杉木のほうだ。
鈴木は本気で杉木をたおす気になっている。
「不撓不屈の男」にとどめをさす。

同時に相反する感情があふれてしまう。
房ちゃんを責めぬいた杉木は自分の本性をおそれた。
はじめて引退を考えた。
自分の本性を知ってしまったからだ。

「黒いドレスの女」と踊った杉木は高い評価を得た。
自分の特性は冷酷な支配者だったということか。
ダンスを続けてもチャンピオンにはなれない。
「愛にあふれたパフォーマンス」など見せられないからだ。

鈴木と杉木の激しいディープキスへ

ふたりは駅でわかれる。
何も言えず鈴木は電車にのった。
痛ましい思いを感じている。
「やっぱ今、戻らないと」
杉木に何かしてやりたいと思う。

駆け出そうとしたとき
杉木のほうがホームに走りこんできた。
言葉にならない感情がある。
始発に乗り込みふたりは激しくキスを続けた。

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