マガジンサード ラテン 社交ダンス

【10ダンス ネタバレ】2巻8話

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杉木は決勝戦へ進む

杉木ペアは圧倒的な実力を見せた。
『ダンスウィズ』の向井くんはもう夢中だ。
予想をはるかに超えたパフォーマンスに我を忘れる。
テーブル席で見ていたラテン鈴木も呆然としている。
杉木ペアのダンスから目が離せない。

杉木の実力はチャンピオンと同等だ。
ジュリオと杉木はスタイルも似ている。
職人気質で完璧な踊りを見せるのがジュリオ。
実力を持ちながら観客を喜ばせるのが杉木。

杉木とジュリオとの差はごくわずか。
ジュリオの相方リアナは、もともと杉木のパートナーだった。
特にタンゴで杉木とリアナのペアは最高の演技を見せていた。
そのリアナをジュリオは杉木から奪いチャンピオンとなったのだ。
以来1位の座はジュリオがキープし続けている。
いまやジュリオのモチベーションは杉木への対抗心のみだ。

会場のダンサーたちは皆それを知っている。
チャンピオンのライバルは杉木だけだ。
杉木がいるからこそジュリオは踊り続ける。
杉木のダンスが素晴らしくなれば、
それだけジュリオもレベルアップする。

まるでジュリオを助けるために杉木が存在しているかのようだ。
杉木はジュリオにリアナを進呈した。
そして毎年1位の座をジュリオに渡している。
エンターテインメント性たっぷりのパフォーマンスを見せ
ジュリオの完璧さを際立たせる役回りだ。
競技会は盛り上がり、ダンス界は活性化する。

「2位の男」杉木のポジションが明らかになってくる。

ようするに杉木は「エサ」のポジションなのだ。
ジュリオが輝くための影の存在である。
「エサ」が高価であればあるほど、
それを食うチャンピオンの価値も高くなる。

杉木は素晴らしい実力を持ち、
チャンピオンに肉薄する踊りをかならず見せる。
むしろジュリオ以上に観客を喜ばせながらも
けっしてトップに登ることはない。
杉木のプライベートな恋愛事情さえ
ジュリオとの戦いに華を添える。

リアナをめぐる争いでもジュリオが勝った。
杉木がリアナをみつめる横顔も
かねてからの予想通り1位を逃す様子も
観客を喜ばせるネタになる。
同情される役柄を杉木は押し付けられている。

予想通り杉木は2位

ラテン鈴木には我慢できない状況だ。
素晴らしい実力を持ちながら愛した女にコケにされる。
誰よりも観客をわかせながら優勝をのがす。
オナ―ダンスではリアナと踊ることになった。

チャンピオンからパートナーを借り受ける。
周囲からの好奇の目の中でリアナの手にキスする。
「フラれた男」の感情の高ぶりを観客たちが堪能する。
皆が杉木が負けるのを見に来るのだ。
「不撓不屈の男」の敗北を楽しみにしている。

ラテン鈴木が思わず立ち上がる。
杉木をフロアから連れ出そうとした。
こんなところで見世物になっているのは耐えられない。
杉木は尊重されなければならない。
鈴木が唯一認めるダンサーだからだ。
しかしステージに上がるのは止められてしまった。

杉木は鈴木を見つめつづける。

フロアで杉木は踊り続けている。
チャンピオンのリアナの手を取って回り続ける。
杉木は、鈴木を見つめる。
ライトで客席など見えないはずなのに。
ひたすら鈴木を見つめて踊り終える。
鈴木のいるテーブルに向かい深く身をかがめる。

自分の戦うところ、負けるところを鈴木に見せた。
自分の能力と人脈を見せた。
このまま「2位の男」で終わるつもりはない。
状況を打ち破るために鈴木が必要なのだ。

杉木の視線の先にあるテーブルに満場の注目が集まる。
鈴木は柱の陰に逃げ出した。

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