学校になじめないるおう
いじめがエスカレートしている。
母親のことがかっこうのネタになった。
インターネットでなんでも調べられる時代だ
個人情報などあっという間にもれてしまう。
いじめられているるおうを見て、潤平は落ち着かない。
もともと嫌いなやつだし。
バレエに通わなくなって、
都は声をかけてこなくなった。
千鶴も何も言ってこない、
バレエスタジオで目があったのに。
気になってのぞきに行ったのだ。
バレエをやめる気にはなれない。
兵ちゃんたちがるおうを部室に連れ込む。
密室でのいじめ開始である。
ビクついて尻餅をつくるおう。
リアクションを笑われ、
サッカーボールの的になる。
「いじめ、かっこわるい」と言う標語があったが、
いじめられているやつはもっとかっこ悪い。
中学生の世界は残酷だ。
バレエを踊っている時はあんなにかっこいいのに。
るおうは決定的にコミュ障なのだ。
というか通常の会話で人と関わる気がないのか？
目の前のるおうに、潤平は我慢できない。
全てを捨ててバレエをやるとこうなるのか？
かっこ悪い。
練習しながらいらいらする。
バレエをやる男はかっこ悪いじゃんか。
俺はかっこよくありたい。
バレエが下手な自分にがっかりする。
うまく踊れるようになってステージで見せつけたい。
しかし上達のためには全てを捨てなければならないらしい。
友人関係も。
目の前のるおうがいい例だ。
普段の学校生活ではめっちゃかっこ悪くみじめだ。
あんなのは嫌だ。
バレエを習っていることがばれたら、それだけでからかわれる。
幼い頃すでに経験済みだ。
ふたつを両立させるため潤平は苦慮する。
隠れて踊っている。
踊りながら自分に問いかける。
いま俺はかっこ良いのか？
そもそも、どうなったらかっこ良いんだ？
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