生粋のラティーノ
鈴木はキューバで生まれ、踊りながら育った。
そして父親から踊りを学んだ。
父親は競技ダンサーだ。
親子でレッスンするし、ダンスの話もする。
環境的にも遺伝的にもラテンダンスの人間だ。
そんな鈴木が、折り目正しい杉木に求めるのは、
アイコンタクトである。
どんなに近くても目線を外すなと指導する。
ふたりは付き合って3ヶ月目、
お互い大好きで,相手を見ていれば幸せ、
という設定で踊れと。
帝王の練習法
杉木の指導は地味だ。
スタンダードを踊るときには
ラテンとはまた別の性質が求められる。
男としての役目を果たせということだ。
女性が安心して踊れるようにする。
そのためにダンスの全てを把握してリードする。
必要なのは基礎練習の徹底である。
杉木は毎晩、始発まで練習している。
鈴木に対しても長時間のレッスンを求める。
音楽なしのカウントだけで。
ダンス教師の恋愛事情
杉木も鈴木も特定の恋人はいない。
パートナーと付き合っているダンサーは多いし
ファンや生徒からはそういう前提で見られているが
杉木のパートナー、房子も
鈴木のパートナー、、アキも
私生活で別の男と付き合っている。
必要になれば、鈴木はナンパに出かける。
チャラい。(←褒め言葉だ)
その間、杉木は世界大会に出場している。
ロンドンインターだ。
社交ダンスの本場イギリスで行われる三大大会の一つ。
杉木はすでに六連覇している。
ダンス一筋なのだ。
ナンパ終了後の鈴木は、六本木のベッドで
杉木のホールドを思い浮かべる。
本番を控えた杉木は、ロンドンの湯船で
鈴木のエイトロールを思い浮かべる。
どちらも実績と実力を持っている。
いままでダンスで積み重ねたものがあるからこそ
動きを見るだけで、相手の価値が分かる。
あれを手に入れて10ダンスの世界で優勝したい。
競技ダンスの世界を征服するのだ。
日本とイギリスでふたりはひかれ合っている。
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