人間関係の更新
バレエのために部活をやめる、バンドもやらないと。
やっと正直な気持ちを言えた。
こっそり隠していた、やりたかったことを伝えた。
潤平は新しい道へ進む。
今までの仲間にとっては、決別を宣言されたに等しい。
学校での楽しさを捨てて、るおうのような生き方を選ぶのか？
るおうは孤高である。
学校での友人関係を捨てて、
はるかに大事なものを自分の中に抱えている。
サッカー部の連中は敏感にそれを感じている。
「仲間とのつながり」を馬鹿にされているらしいと。
潤平も自分たちよりバレエを大事にするらしい。
サッカー部はバレエほど価値はないと判断された。
とても受け入れられない。
潤平は友だちを失う。
LINEのグループから外された。
ダンスール・ノーブル
潤平はスタジオへ走る。
きちんとバレエを習うのだ。
母はあっさりと認めてくれた。
笑いながら。
死んだ父の好みは気にしなくていい、
自分のやりたいことに進めと
月謝と菓子折を渡してくれた。
「俺にバレエをっ、教えてください･･･!!!」
髪を丸めて頼み込む潤平に、
千鶴はレッスンをつける。
そして新しい目標を示す。
バレエの世界のトップ、「ダンスール・ノーブル」だ。
「用紙、技術、演技力、華、音楽性、品格、サポート力」
すべての資質を備えた存在がある。
ロシアの最高峰のカンパニーで
王子に到達した日本人はいまだいない。
潤平は宣言する。
「俺がそこで日本人初のダンスール・ノーブルになるわ」
とほうもない目標だ。
「海賊王になる」という以上に具体的な目標だ。
現実世界での制約が多すぎる。
宣言できてしまうのは若さの特権だ。