潤平は解放された。
もう我慢しなくていい。
バレエを踊っていいのだ。
嬉しくて学校でも飛び跳ねている。
ダンスール・ノーブルになるには
潤平の目標は高い。
統計的に見ると達成不能にも思える。
- ワガノワ・バレエ・アカデミーに入学。数千人受験→数十人合格
- 卒業できるのは約半数
- 一流のバレエ団に入団→数人
- バレエ団のなかでダンスール・ノーブルになる。
「3,入団」まで到達した日本人はいままでに2人。
「4,ダンスール・ノーブル」になることは誰もできなかった。
それでもやる気だ。
千鶴も期待している。
「ここで初めてあんたが踊った時、わたしもあんたにね
同じ絵空事を思い描いちゃったもの!」
可能性は薄いが、期待する根拠がある。
潤平の体はバレエ向きなのだ。
バレエに向いているかどうかは体格に左右される。
バレエ向きの体格とは?
千鶴が挙げる条件は・・・、
- 手脚が長い
- 指先が長い
- 足は大きくて足の甲も大きい
- 頭が小さい
- 首が長い
- 関節の可動域が広い
本人の意思ではどうにもならないものだ。
バレエは、遺伝的に持っている素質に左右される。
そして、潤平はいい素質を持っている。
バレエに愛されているのだ。
先のことより今の幸せ
学校の屋上で練習しているところへ都が登ってくる。
潤平を見て笑う。
涙をこぼしながら。
レッスンを再開したことを心の底から喜んでくれている。
バレエの世界には都がいるのだ。
それだけでもトップを目指す価値があるではないか。
坊主頭を都になでさせて、潤平は幸せだ。
青春だわ。