ある意味本当のお姫様
女子との練習がはじまる。
男女で息の合った踊りを見せる
パ・ド・ドゥはバレエの見せ場だ。
潤平は、練習相手に夏姫を指定された。
気の強い娘である。
上から目線で潤平に
遠慮なく指示を飛ばしてくる。
だがバレエ団主催、綾子の娘である。
取り扱い注意。
夏姫は、洋舞祭りでの潤平を見ていたらしい。
潤平の踊りは「ありえない」という。
男性ばかりが目立ってしまっていた。
潤平がニヤニヤして踊っていたから。
都の方が潤平に合わせて踊っていたから。
男の方がパートナーを引き立てなさいよ、
と夏姫は主張する。
理想的なパートナーとは?
るおうと都は息ぴったりである。
一緒に踊ると、都がいつもよりきれいに見える。
きれいに見えるよう、るおうが支えているのだ。
抜群の安定感。
洋舞祭りでの潤平は、都を見せることを考えていなかった。
自分のうれしさを出そうとそればっかりだった。
たしかに夏姫の言うとおりかもしれない。
今さらながらに潤平は気づく。
夏姫とのぶつかり合い
いまだにうまくいかない。
潤平たちだけ次の課題に進めなかった。
夏姫はそういうのに我慢できない。
「あれやってみようよ」
と勝手に進めてしまう。
「軽ッ」
潤平は驚くが、
軽いのは夏姫が潤平を信用していないからだ。
教師の指示で、ぐっと重みをのせて
ふたりは倒れてしまった。
「転んでいる夏姫ちゃん、初めて見た」
クラスメートに言われ、夏姫はぶち切れる。
こういうのにぜったい我慢できない娘なのだ。
プライドが高い。
「男性は何があっても女性を支えなきゃいけないのっっ」
「もうっ!こんなヘタクソな猿と気ィ遣って踊るの、嫌っっ」
潤平もぶち切れである。
小学生相手だが、腹の虫がおさまらない。
ロッカールームで着替えながら今後が憂鬱だ。
女子クラスを見学
海咲先輩の提案で、女子たちと連絡先を交換するためだ。
見学室から女子たちのレッスンが見える。
夏姫はクラスで一番上手い。
全員が踊っていても、夏姫に目がいってしまう。
潤平は圧倒された。
レッスン終了後も夏姫はひとりで練習を続ける。
真剣な表情である。
プライドが高いが、それに見合う力を持っている。
努力も重ねている。
海咲の陰謀
海咲が、るおうの足を引っ張りに入る。
るおうの弱点は都だ。
サマースクールで一番うまいるおうを
都を使って、メンタル攻撃できないか?
るおうに話しかけ、様子をみる。
・・・都ちゃんと特別仲良くなりたいなぁ。
るおうは揺るがない。
るおうは都を絶対的に信頼しているが、
都は潤平が気になっているらしい。
突破口発見。
安田海咲、おそろしい男である。
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