今回はキスがメインである。
潤平と都がのやり取りだけでたっぷり12ページかけて描く。
濃厚。
こんなのはじめて見た。
ふたりの中学生が近づくだけで世界が変わってしまう。
好きな子に近づくときのトキメキとためらい。
潤平は純粋である。
都を好きだ。近づきたい。
「ああいうタイプは押しに弱い」
いってしまえ、と海咲からは煽られている。
先輩の根拠のない保証が、潤平の背中を押す。
いけるんじゃないか?
図書室でふたりきり。
都はめちゃくちゃ照れている。
潤平の目に、相手の身体のパーツがズームアップで映る。
顔を隠したままの上半身→胸から上。
赤くなって手であおいでいる。
それから、肩→耳→髪(いいにおい)。
都の目が急速に拡大する。
引き寄せられるように目元にキス。
お互いにびっくりして一度距離をとる。
潤平はもう目も合わせられない。
やりすぎたかも、と反省したり
猛烈に照れたりで口をかみ締めてぐっと目をつむる。
「好きッッ」
今度は都のほうから言ってしまった。
自分で言っておいて自分で驚いている。
マンガは情報量が多い。
言葉にならない感情が
ひとこまひとこまにギッシリ詰まっている。
こんな時こういう表情をするんだわ。
本能のままに、都はしゃべる。
1.「こ、心をっ、ねっ、確かめ合ってから、こーゆーのは」
2.「それにこんないつ人が来るかっ、わからない所でっ」
女子からのテストである。
潤平は正しく対処する。
1.「都、好き」と言って
2.本で顔を隠し
接近した。
マウス・トゥ・マウス。
潤平すげえ。
よくやった。
るおうはひとりで帰宅
顔隠しに使われた「バレエの歴史」もいい迷惑である。
ぜんぜん隠れてない。
言い訳に使われただけだ。
「丸見えやん」と海咲。
このシーンを確実に見せるため
るおうと一緒に戻ってきたのだ。
るおうに精神的ダメージを与えて
サマースクールからけおとす。
策士である。
るおうはものも言わず立ち去るるおう。
ひとりで電車に乗って帰ってしまった。
ひとまず陰謀はうまくいった。