予選結果発表
受験の結果発表と一緒だ。
合格者の番号が壁に貼り出される。
夏姫、合格。
潤平、合格。
都、不合格。
寿、不合格。
順当な結果だ。そうなのだろう。
落ちた都はホテルに閉じこもる。
人を審査するのは厳しいことだ。
「逃げないで向き合えば大きく成長する」
「どんな結果でも貪欲に自分の糧にし、成長する」
「それがコンクールの意義だ」
残酷だが、上手くなりたかったら
現実を認める必要がある。
決戦はどう踊ればいい？
潤平は迷っている。
次の決戦はどう踊ればいい？
るおうに「つまらなくなった」
と言われたのがショックだった。
寛太のように力で巻き込む踊りがしたい。
それが潤平の長所ではないか？
何より、予選では力を出し切った感覚が無かった。
「一回目の審査の時のように踊ればいい」
中村先生の言葉は正しいが
もやもやが残る。
練習量の差
潤平は踊り出す。
身体で確かめるのだ。
ブランコの振りで踊ってみる。
一次のようなシンプルな振りで踊ってみる。
必死で考えながら身体を動かす。
つまらないバジルはやりたくない。
しかしシンプルに正しい形に
決まると気持ちがいい。
予選会での踊りを思い出す。
るおうも夏姫も、寛太も、
正しさと勢いを両立していた。
どうすれば自分にそれができる？
結論は単純だ
「圧倒的な練習量の差」
救いがない。
才能とかそれ以前の話だった。
だが決戦は明日なのだ。
１００回おどる？
潤平はとんでもない結論を出す。
シンプルな振りで１００回おどろう。
アホなやり方だ。
中村先生に言われるまでもなく。
しかし中村先生も引き込まれてしまった。
「アホの１００回付き合ってやるよ」
ふたりは練習スタジオへ向かう。
こんなことで何とかなるものか？
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