チュチュをつけて女性の気持ちを知る?
潤平はパドドゥの練習を続けている。
自分たちの踊りを完全にリンクさせたい。
夏姫の意図を解放させたうえで、
自分も自由になりたい。
その課程として、ひとまず
夏姫に歩み寄りたい。
身体の動きを感じ取る。
潤平はそのためにワッシー先輩と踊る。
チュチュをつけて夏姫の振りをなぞる。
ワッシー先輩に持ち上げてもらい
フィッシュダイブ→ポーズを決める。
通りすがりの綾子さんがあきれる。
なんてことを!!
「より女性の心理を理解し
サポートに活かすためです!!」
きっぱり説明する潤平を
綾子さんが叱りつける。
潤平がいると練習場が明るくなる。
笑いが絶えない。
テレビの取材陣も思わず
潤平にカメラを向けてしまう。
面白いから。
これはもう才能だ。
第一候補は海咲・響ペアか?
海咲と響は、短期間で驚異的に成長した。
「ブスとバレエ」問題を
ふたりで乗り越えているのだ。
特別な信頼関係が生まれている。
そのせいで踊りが急激によくなってきた。
「海咲と響の成長具合を見ていると、
何もかもが物足りないわね」
ロシア留学帰りのふたりすら、
綾子さんの目には、劣っているように見える。
「無駄な時間を減らすべきかもしれませんね」
すでにオーディションの勝者に
目星をつけ始めているようだ。
ロシア組とは圧倒的な実力差
そして経験の差があったはずなのに
海咲と潤平が追いついてきている。
海咲は、響とのコミュニケーションを
きっかけに這い上がる。
潤平は、テレビクルーを巻き込む
生来の華やかさで寄せてきた。
次回のリハーサルでは
海咲と潤平も参加することになった。
夏姫と潤平の距離
海咲は正統派王子である。
普段から王子を心がける
練習後は玄関で待ち合わせて
パートナー響をエスコートする。
潤平は負けられない。
夏姫を送りに行くため
レッスン室まで迎えに行く。
ふたりで夜道を歩く。
バレエの話題は尽きない。
バレエというか、今やっている
パドドゥ練習のことで頭がいっぱいだ。
「私が、ついていけてないのが歯痒い」
夏姫だって潤平を解放したい。
「潤平の頭の中が見たい」
むかしやった「パリの炎」ごっこのように
全力をぶつけあって、
とんでもないレベルを経験したい。
潤平は夏姫の横顔に見とれる。
「キレイ、だな・・・」
夏姫に見つめ返されてドギマギする。
「告白」されると思って目をそらしてしまう。
唐突に真面目な顔で切り出してきた。
「潤平、話があるの。真剣な」
潤平はあせる。
ぜったい「すき」って言われる。
しかし、夏姫は「告白」なんてしない。