清春の復活
替え玉事件から6ヶ月がたち
清春・しずくペアが競技会に復活した。
謹慎明けで大阪グランプリ出場である。
ガジュ・まこペアも出場している。
今回は、まこの進化が著しい。
アピールのつよい踊りをするようになった。
中学生とは思えない大人びた表現。
そして衣装の面積が小さい。
「まこは、おめぇと組んで・・
胸でっかくなったんだべか?」
兄ガジュが苦悩していたのはこういうことか。
ラテンのペアとしては長足の進歩だが、悩ましい。
清春・しずくペアへは、審査員の視線が厳しい。
「どんな実力者でもペナルティを犯す選手は
私は評価しかねる」
当然である。
全開の替え玉事件が尾を引いているのだ。
そんな中でも清春たちはゆるがない。
パートナーとのタイミングも
動きのキレもまったく別物。
清春は身体も一回り大きくなった。
全身を鍛えてよりいっそうの表現力をつけてきたのだ。
温泉につかっていただけなワケがない。
身体を大きくするには、計画的な食事+筋トレが必要。
半年の間に自分の身体を作ることに専念していたのだ。
たたらはひとりで自主レッスン
いっぽうで、たたらは独りレッスンを続けている。
パートナーがいないからシャドーレッスンだ。
仙石も海外に行ってしまって孤独な時間である。
うまくいかない。
仙石の動きをまねようと苦闘するのだが
「ムーブメントが根本的にわからない」
東京グランプリの仙石は演技の途中でダンスを変えた。
前半は、基礎足形中心の振り付け。
後半は、身体の軸を大きくブラしたバリエーション。
後半のほうがぜんぜん分からないのだ。
やろうとすると、基礎の部分がとんでしまう。
前半と後半でまったく相反する動きなのだ。
たたらが今まで培ったものが役立たない。
「どうしてあんなダンスを僕に見せたんだろう」
「当然『やれ』って意味だよ」
仙石が日本に帰ってくるまでに
「軸をブラしたバリエーション」を習得するつもりだ。
たたらの競技会出場
夜中にガジュから電話がかかってきた。
たたらに清春からの伝言がある。
競技会で待っている「楽しみだ」と。
たたらと試合するつもりだ。
ガジュに教えられ、たたらは
競技会エントリーまでの手順を整理する。
1,カップルを組む
2,N(級なし)の大会に出る。
3,級をあげてグランプリに出場する
なかなか長い道のりだ。
なにより先にまずパートナーを見つけて
カップルを組まなければならない
再度基本に帰る。
仙石が帰国した。
たたらは仙石にあやまる。
「身体の軸をぶらした踊り」を習得できなかった。
「は!?誰が『やれ』って言ったよ!?」
仙石はそんなことやらせるつもりはなかった。
そんなの不可能だ。
なんてこった。
仙石の趣旨はこういうことらしい。
試合に勝ち抜いて上にあがりたければ
ゆくゆくはこういう動きが必要になる。
よく見ておけ。
頭の片隅においておけ。
いまは基礎固めに集中しろ。
上質なベーシックで周囲を圧倒するのは
最高にクールだ。
よかった。
問題解決である。
いまやるべき事は基礎固め。
清春たちもベーシックだけで
決勝まであがってきたという。