社交ダンス

【ボールルームへようこそ ネタバレ】8巻34話

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千夏がたたらを無視する。

話しかけてもまともに答えない。

合宿のすぐ後に大会が控えているのに

まともに組んで踊ることもしない。

同じスタジオにいながら

ふたりがするのは個人練ばかりだ。

たたらはげっそりする。

「たたら達どうしたん?」

ただならぬ雰囲気にガジュが落ち着かない。

合宿2日目はバラバラのまま終わった。

翌日も千夏はたたらを拒否し続ける。

みかねたガジュが気分転換を提案した。

軽井沢の街へお出かけだ。

美味しいもんを食べて

お土産買って楽しんだらいい。

しかし、たたらと千夏は険悪なままである。

ランチ中に口論がエスカレートし

千夏は帰ってしまった。

気まずいのムードの中、清春がアドバイスする。

「試合をリタイアしたければお好きにどうぞ」

最悪だ。

清春の言いたいことはシンプルだ。

自分と向き合え。

他人に依存するな。

コミュニケーションを取るための

大前提はまずそこにある。

清春は、同じことを何度も

繰り返したたらに伝えている。

自分と向き合え。

たたらは悩むポイントを間違えている。

たたらがなぜ分からないのか、

清春には分からない。

イライラする。

清春が伝えたいのは実にシンプルなことなのに。

自分と向き合うこと。

自分がどういう人間で、何をしたいのか?

なぜそうしたいのか?

伝えたいことがないのに

伝えることなどできない。

対話から自分を知る。

まこが千夏についていった。

千夏をひとりで帰らせるわけにはいかない。

たたらと千夏の不仲の原因が自分だとしたら

まこは誤解を解いておきたい。

まこだって、つらさを味わってきているのだ。

まこは自分を知っている。

自分の置かれた状況を千夏に説明する。

パートナーである兄との実力差が大きい。

「散歩の犬」「ポチパートナー」と陰で呼ばれていた。

ダンスが好きではじめたのに表現者になれない。

自信がないため、自分の意思をしめせず

まこはガジュを孤立させた。

たたらは、そんなまこを変えてくれたのだ。

フォローに徹した変態的なダンスで、

たたらはまこからたくさんのものを引き出した。

自分のなかにも表現欲がある。

内側からあふれ出す意思がある。

ガジュについていけないかもしれないが

現時点で兄のパートナーになる力を持っているのは

自分しかいない。

いまあるこの自分でガジュと実績を残したい。

たたらのおかげでまこはそう思えるようになった。

まことたたらはそういう関係である。

しずくとの対話で自分を知る。

たたらの部屋にしずくが来てくれた。

「一緒に練習しない?」

たたらとしずくはスタジオに向かいながら会話する。

たたらはしずくにあこがれまくっている。

なぜだかわからない。

しずくと付き合えると思っているわけでない。

しずく達と競技会で戦えるほどの力はない。

清春のレベルが高すぎて、尊敬しまくっている。

今さら、しずくとダンスのパートナーになれるとも思えない。

ただただどうしようもなく気持ちがしずくに向かう。

「やだよ待ってくれなかったら」

「僕は一人じゃ頑張れない」

「誰かが見ててくれなきゃ」

たたらの言葉はうわごとのようだ。

予想しなかった言葉が口から出てくる。

脳内の無意識が垂れ流しだ。

「ただ僕は君達のことが好きだから」

「どうしても印象に残りたくて」

なんだかキモい。

だけどこれが、たたらの正直な気持ちだ。

しずくと対話しながら、

しずくと踊りながら、

たたらの脳内にさまざまな記憶がよみがえる。

ダンスの記憶からはじまり

最後に出てきたのが、母親の記憶だ。

たたらと母親の別れの記憶。

父と離婚し、母は家を出た。

振り返ることもなく

幼いたたらを置いていった。

たたらは子どもで、遠慮がちで

母に何も。言えなかった

「人に見てもらえたり」

「少しでも憶えていてもらえることが」

たたらにとって大事なことだ。

根本にある欲求は「見てもらうこと」

たたらはそのために何度も努力する。

 

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