たたらのパートナー千夏は、明と仲が悪い。
会うたびに、ふたりは
挑発し、ののしりあう。
小学校からの腐れ縁である。
今回は明が主人公だ。
ほんとうは、明は千夏が好きで仕方ない。
明と千夏の出会い
明と千夏が出会ったのは小学１年生の夏。
千夏が転校してきた。
千夏はさわやか。
手足がすらりと伸びてかっこいい。
明はすぐに千夏を好きになった。
千夏に近づきたい。
明はぽっちゃりでどんくさい。
クラスの男子にからかわれて
すぐに泣いてしまう。
そういうポジションだ。
「いじめられっ子」である。
明は千夏と友だちになる
ふたりは給食当番でいっしょになった。
男子がふたりをまとめてからかう。
千夏は男子に反撃した。
「女の子に肉とか言うんじゃない」
と、馬乗りになって抗議する。
ケンカがエスカレートし、
千夏は自分の髪の毛を
突発的に切ってしまった。
翌日、千夏は髪をショートにして登校した。
明も、髪を切って登校だ。
ふたりは友だちになった。
いっしょに習い事をいろいろやった。
社交ダンスも同じ教室ではじめた。
千夏に絡めることが、明にはうれしい。
千夏の急成長
千夏はダンスに打ち込みはじめる。
「千鶴さん」を知ってしまったのだ。
仙石のパートナーの本郷千鶴だ。
千鶴はめちゃめちゃかっこいい。
「私もあの人みたいになる!!!」
千夏は一生懸命練習しどんどんうまくなる。
明はドキドキしながら千夏についていった。
千夏の体を見るとむずむずする。
明は千夏から目を離せない。
ほかの子が社交ダンスをやめていっても
明は教室をやめない。
ダンスを続けていれば、千夏を独占できる。
千夏は一心に練習する。
ダンスに対してひたむきで傲慢だ。
明からの挑発
千夏は「お見合い」がうまくいかない。
男性パートナーが見つからないのだ。
年齢が上がれば、明と組んで
競技会に出ることはできなくなる。
とうとうダンスをやめてしまった。
残念。
明はまだまだ千夏とからみたい。
「私は劣情まみれ」
劣情の対象は千夏だ。
千夏をダンスへ呼び戻すため
明は競技会に出ることにする。
男性パートナーを調達し、
踊っている姿を千夏に見せつける。
千夏を追い越してみせた。
「あぁその目」
「ムラムラする」
明は千夏の悔しがる姿がうれしくてたまらない。
千夏はダンスにかえってきた。
いま同じ大会で明と千夏は競っている。
ダンスを続けてさえいれば
明はずっと千夏と遊べるのだ。
「ただ仲良くしたかっただけ」
明は千夏を大好きだが
その気持ちをけっして口にださない。
