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【#10ダンス #ネタバレ】#3巻#12話

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ラテンのコツをつかんだ杉木

どうしてもラテンの雰囲気を出せない杉木ペアに
鈴木たちが演劇方式を提案。
振りにセリフをつけるのだ。
作戦がは成功。
恐ろしいセリフが次々とでてくる。

ビッチキャラで挑発する鈴木にひっぱられて
杉木の中に眠るドSな性格が姿をあらわした。

「散々なめた態度をとっておいて
今さら逃げられると思ってる?
「つまらない駆け引きはやめて
そろそろ素直になったらどう?」
「無様に縋りついておねだりしてごらん。さあ・・・」
「上手く出来たら抱いてやる!」

やばい。
セリフがすらすらとでてくる。
ラテンの雰囲気なのかは分からないが
振り付けに感情が入り込んでいる

「少々苛めすぎたかい?」
「ベッドの中では優しくするよ」
「観念しなよ」
「今すぐ突っ込まれたくて堪らないって
顔に書いてある」

端正な表情とはうらはらに
驚愕の言葉がなめらかにでてくる。
振り付け変更だ。
これならもっと攻められる。

レッスンが終わったら今夜も公園で踊り明かす。
杉木は気分がいい。
上機嫌だ。
ラテンのコツをつかんで鈴木をびっくりさせた。
身体が弾んでいる。
全身の喜びが、一緒に踊る鈴木に伝わる。

朝まで踊って始発で帰る。
別れ際に鈴木が聞く。
「病院行くってきいたけど、どっか悪いの?」
杉木は故障を抱えているのか?
定期検診とのみ答えたが何か隠しているのかもしれない。

アーニーに恋愛相談

ラテンでのはじめての経験を
杉木はアーニーに相談する。
ルンバを踊っていて鈴木に興奮してしまった。
アーニーは杉木のルームメイトだった。
ゲイだ。
杉木に告白したこともある。
だからすぐに分かった。
杉木は鈴木に恋をしている。

杉木はアーニーの叔父にも言うことがあった。
叔父のマシューはダンス界の偉い人で
10ダンスの審査員でもある。
鈴木を10ダンスに出場させる。
無視せずしっかり見ておいてほしい、と。
マシューにはあらかじめ鈴木の踊る動画を送っている。

現時点で、マシューは鈴木のダンスを評価していない。
鈴木のダンスはゆるい。
身体を極限まで使って表現するショー。
ドラマチックなラブストーリーを見せるスポーツ。
マシューがみたいのはそういうものだ。

鈴木のルンバは天性のもの。
社交ダンスの人工的なルンバとはちがう。
キューバ人の踊りを分析し再構成したのが社交ダンスのルンバ。
どこまでも理論的につきつめて組み立てられている。
体を頭で操作し、筋肉に緊張を強いる。
動きを強制することで独特の雰囲気をまとう。

細部に至るまで体を理性に従わせ、ドラマを生み出す。
それはイギリス的な競技ダンスの欠点でもある。
鈴木は表面上「社交ダンス」の枠内に収まって見せているが
根本のところでは別の原理で動いている。

杉木が魅せられているのは、ラテン鈴木の異世界の感覚だろう。
鈴木はもともと身体能力が並外れていて、それで充分に勝てる。
日本チャンピオンだ。
ダンス教師として食っていくのに不足はない。
己の能力のごく一部を見せるだけで楽しく暮らせる。

もしこれだけの力を磨き上げ、フルに使えば
「社交ダンス」そのものの枠を壊してしまえるのではないか?
イギリス的な堅いダンスを楽々と乗り越え
誰にも文句を付けさせない神のような踊りを見せつけられるのではないか?
「お前は本気を出していない」
杉木はそう思ったのだ。
鈴木を徹底的に鍛え上げ、社交ダンスを破壊してやる。

あくまで自然体の鈴木

鈴木と杉木の距離が縮まっていく。
鈴木は天然のかわいらしさがある。
ベッドのなかで目覚めると杉木のことを思い出している。
(全裸でシーツにくるまっているのだ)
そこへ杉木本人から電話がかかってきてどっきりしたりする。

いつも敬語で話す杉木とは正反対だ。
「もっと僕のことを知ってほしい」
「もっと教えろよ」「ずっとアンタの話聞きたかった」
ふたりは子どもの頃の話を交換する。
どちらも親がダンサーだ。
ダンスのエリート教育を受けた。
ある意味、おなじ境遇で育っている。

銀座の公演で踊りながらふたりは会話を続ける。
まるで恋人同士のように。
好きな料理やお酒。
映画はどんなのがいい?
ふだんはどんな暮らしをしているのか?
話題はつきない。

秘密兵器ノーマン

鈴木にスタンダードを仕込むため
杉木は自分の人脈を駆使している。
競技ダンス界の「お偉いさん」ニーノには
すでに話をもっていった。

次はノーマンだ。
もとスタンダード・チャンピオン。
ノーブルで耽美な雰囲気を醸し出すダンスでフロアを圧倒した。
パートナーの妹と「禁忌の恋」のうわさが流れるほど濃厚な表現力を見せた。

ノーマンのほうも鈴木に興味をもっている。
ブラックプールのテーブル席で会っているのだ
鈴木にスタンダードを踊らせたい。
「捕食者みたいに野性味のある男」が
本性を隠して踊るのを想像しただけで興奮する。

ノーマンも相当な変態である。
そして杉木と同じくダンス気ちがいだ。

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