社交ダンス

【ボールルームへようこそ ネタバレ】9巻37話

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A級2次予選結果発表

ひどいダンスだった。

たたら達は落ち込んでいる。

ヒザをかかえて通路に座りこんでしまった。

たたらは人差し指で壁をこする。

不安だ。

結果発表がこわい。

3次に進める気がしない。

ふたりの体がかみ合わないまま踊ってしまった。

さらに踊りながら口げんかしていた。

「でも予選落ちはしないはず」

一人一人は基礎がちゃんとしていたから。

ただしこのままでは決勝に残れない。

ともかく、たたら達は目立っていた。

違和感たっぷりだった。

「動きがキモチワルイ」

マッサージ機のもみ玉が動くかのようなズレ具合。

形相の恐ろしさ。

目に入って仕方ないのだ。

審査員たちは思わず見てしまった。

チェックをいれた。

おかげで2次は満点だ。

目立ったもん勝ち。

「音楽性」とか「一体感」を問われるのは

まだこの先の話だ。

A級3次の採点基準

千夏はたたらの変化を感じている。

たたらは基礎足型しかやってこなかったのに

わずかな隙間から「自分の踊り」を出し始めている。

自分を出してきた。

千夏はそれを受けて、踊りを向上させようとしている。

3次からは採点基準があがる。

今までとは違う。

前半では「印象審査」。

後半では「比較審査」。

出場者を2段階でふるいにかける。

「印象審査」は文字通り見た目での判断だ。

踊り手の実力は身なりに現れる。

体にあった服を着るだけで結果が変わる。

「比較審査」実力勝負だ。

動きそのものが、細部まで吟味される。

手の位置、足の位置、

指の形、首のそらし具合。

とくに出場者どうしで、

振り付けがかぶると比べられる。

違いが一目瞭然なのだ。

フロアではちょうど

釘宮たちと明たちが踊っている。

同じ「スローアウェイ・オーバースウェイ」。

まったく違う。

釘宮たちは流れるように美しい。

足のつま先から、背中のラインを通って

腕のしなりを抜け、手首から指先へつながる。

同じポーズなはずなのに違う。

手首の返し方等、細かなポイントの集大成が

体全体の美しさを完成させる。

「曲線の生み出し方が意識レベルからして全然違う」

2組ならぶと残酷なほどに見せつけられる。

さながら「花瓶とビア樽」だ。

たたらも釘宮たちを見つめながら踊りをイメージする。

マリサ先生のアドバイスが思い出されてくる。

目の前で踊る釘宮たちに

千夏の体のイメージをかさねる。

千夏の体は知っている。

「回転」「傾き」「伸張」「歪み」

たたらのなかに千夏の体がよみがえる。

千夏のほうがよくしなる強い体をしている。

組んだときの空間を大きく使える。

釘宮組の美しい手本の上に

千夏のイメージが広がる。

「花瓶から美を溢れさせなさい」

たたらは気づいた。

千夏は素晴らしい体をしている。

「おそらくこの子が会場で一番美しい」

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