バレエ漫画 フィールヤング ネタバレ

【バレエ・リュス ー ニジンスキーとディアギレフ ネタバレ】第4話中

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春の祭典の難航

次のバレエ・リュス新作は『春の祭典』だった。
音楽はストラヴィンスキーが担当。
『火の鳥』『ペトルーシュカ』とすすめてきた路線を
ストラヴィンスキーは、さらに過激に踏み越えた。
すでに「現代音楽」である。

ニジンスキーの振り付けは困難を極めた。
明確なイメージがあるのにうまく伝えられない。
いままでのバレエをこえた動きだった。

「・・・私もうムリです」
「彼についていけません」
疲労困憊するダンサーをディアギレフがなだめる。
「そんな事言わずに・・・」
「今までうまくやってきたじゃないか」

ダンサーは聞き入れない。
ニジンスキーの暴走に危機感を募らせる。
「本当に無理よ」
「彼はどんどんおかしくなってる」
「ほかのみんなもそう思ってます」
「バレエ・リュスは破滅よ!」

ディアギレフですら彼を抑えきれなくなっている。
ニジンスキーは『春の祭典』に夢中だ。
頭の中にははっきりしたイメージがある。

だが振り付けと指導の経験がほとんどなく、
ダンサーたちにうまく伝えられない。

ディアギレフは息抜きに食事をすすめる。
「今日は最高のキャビアが入るといっていたぞ」
「シャンパンでもあければ少しは気分も・・・」
ニジンスキーはにべもなく拒絶する。
「食べることしか考えてないんだな」
「だから豚みたいに太っているんだよ」

桜沢先生の描くディアギレフは繊細さがきわだつ。
まるでフラれた女子のようだ。
才能ある若い男に冷たく拒絶され
深く傷ついている。

ディアギレフはベンチでひとり泣いている。
ふたりは感性が違うのだ。
ディアギレフはおいしいごはんで元気を取り戻し
すっきりしておしゃべりに戻れるタイプ。
仲のいい会話がディアギレフの仕事だ。

ニジンスキーは芸術家だ。
今まで存在しなかったものを作り出そうと
朝から晩まで没頭し、イライラをつのらせるタイプ。
ふたりの間にどうしようもない溝ができる。

コミュニケーションが苦手なニジンスキーは
しょっちゅう癇癪を起こした。
稽古は120回におよんだ。
主役が妊娠してしまったのだ。
代役がたてられたが、出来栄えはまったく満足いかなかった。
ニジンスキーの見本は素晴らしかったのに。

『春の祭典』初演の失敗

初演は歴史的な大失敗だった。
まずストラヴィンスキー音楽がわけが分からん。
あまりに複雑なリズム。
ピアノをゲンコツでなぐったような音の塊。
いきなり現れるメロディー。

舞台の上では、ダンサーの一群が
地味な衣装で走り回り、
内股で腰を曲げ、首をかしげたまま
ジャンプしたり走り回ったりしていた。

曲が始まると野次が起こった。
賛成派と反対派の間でののしりあいが起こり
怒号と殴り合いで音楽が聴こえなくなった。

ニジンスキーはダンサーたちのため
大声でカウントをとった。
ディアギレフは客席を鎮めようと
照明を点滅させた。
「とんかく最後まで聞いてください」
劇場オーナーは観客に叫んだ。

ここまで大騒動になるとは・・・。

ディアギレフはバレエ・リュスを南米巡業へ送り出し、
路線変更を考え始める。

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