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【ムラサキ ネタバレ】2巻7話『なにかの基準』

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小学校にはいい思い出がない

ムラサキは太った。
小学校は楽しくない。
男子どもがからかうのだ。
太ったことをネタにしてくる。

太った女子にとって
学校生活はつらい。
自身をうしなって
前向きになれない。

男子どもは集団でムラサキを囲む
ふざけているていで、
さんざんにはやしたてる。

女子ともだちが
男子どもを追っ払ってくれる。
だが女子どうしの関係も
なかなかむずかしいもの。

ムラサキを助けてくれた友だちはふたり。
マリンちゃんとよしりんちゃん。
マリンちゃんは言葉づかいが
嫌味なくらいばかていねいだ。
油断がならん。

見た目は重要

ふたりはムラサキの家に遊びに来た。
ペットのチンチラをみせてあげる。
かわいい。
女子たちはテンションが上がる。

やはり見た目は大事だ。
チンチラはふわふわで可愛い。
クワガタは大きいほうがかっこいい。
ムラサキだってそう思うでしょう?
友だちは問いかけてくる。

友だちも、あの男子たちと同じじゃないか?
デブのわたしを本当は
バカにしているんじゃないか?
この子たちの目当ては
ムラサキのパパなのか?
パパはイケメンのパティシエだ。

ムラサキの思考が高速で回転しはじめる。
そもそも自分だって同じかもしれない。
ふわふわのハムスター好きだし、
大きなクワガタはかっこいい。
それって「見た目で判断」してる。

体での対話

ムラサキは友だちに問いかける。
どんな基準で自分をえらんだのか?
マリンの回答は明確だ。
「いっしょにいて心地いいから」
「でも今のムラサキのきき方は不快」
明確だが何も答えになっていない。

3人の間に緊張感がはしる。
ムラサキはゆらりと立ち上がって
マリンちゃんとよしりんちゃんを
投げ飛ばす。
手品のようにあっさりと
ふたりは転がった。

マリンは驚愕した。
ムラサキは何らかの武術をつかってきた。
マリンが武術の師匠にならった技と同じだ。
ムラサキはそうとう強い。

なぜだかわからないが
ムラサキは武術を通して
対話の続きをしているのだ。
マリンは構えをとりながら
めまいと吐き気を感じている。

自分の体をハッキングされる感覚。
ムラサキとマリンのあいだで
体を使った一種の議論がはじまる。

無言の対話

言葉のないやりとり。
全身がセンサーとなって
相手の動きを感じている。

ムラサキはつよい。
マリンが突き出す手のひらを見とり
しなやかに受け止め
掌底を打ち込んできた。
マリンは宙を飛ぶ。

「わたくしの聖域わたくしの神苑が浸食されていく」

マリンは賢い。
周りの世界を明晰に
分類し理解している。

モンドリアンの絵のように。
世界は正確に計算され
直線で区切ったエリアに
しかるべき配分で置かれている。

ムラサキはそこへ侵入してきた。
論理をこえたエネルギー。
形のない説得力は
マリンにとって恐ろしい異物だ。

マリンは吹き飛ばされ
ドアにたたきつけられた。

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