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【ムラサキ ネタバレ】2巻12話(2)『何かが痛む』

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ムラサキと翔之助は踊り続ける。
山の上でのえたいのしれない儀式のようだ。
ふたりのやっていることに、
はじめて名前があたえられる。
それは「コンタクト・インプロヴィゼーション」だ。

コンタクト・インプロヴィゼーションとは

コンタクト・インプロビゼーションとは・・・

70年代アメリカで生まれたコンテンポラリー・ダンスの技法。
パートナーと身体を接触させ、重力や動きを感じながら
インプロヴィゼーション(即興)で踊る。
合気道からの発想を受けており、
その技術は武術と舞踊の境界を往来する。

ムラサキと翔之助は自然発生的に
コンタクト・インプロヴィゼーションにたどり着いた。
感覚を研ぎ澄ませ、おのれの衝動にしたがう。
ふたりはよく似た感覚を持っている。

創始者スティーブ・パクストンについて

コンタクト・インプロヴィゼーションの創始者
スティーブ・パクストンはアメリカアリゾナ州生まれの振付家。
現代舞踊からバレエ、合気道、ヨガ、太極拳、瞑想を習得し、
マース・カニングハム舞踊団のダンサーとして世界各地で公演した。

1972年にコンタクト・インプロヴィゼーションを発表。
世界各国で実践されるようになった。
ゴリゴリのモダンダンスのひとである。

きわきわのパフォーマンス

ムラサキと翔之介はあっさりと向こう側へいってしまった。
体の感覚を研ぎ澄まし、お互いの重みと動きを感じ取る。
その向こう側に非日常の世界が広がっている。

普通の生活では、目をそらして封じ込めてしまう感覚。
まともに感じ取っても処理に困るようなあふれ出す感覚。
日常生活から徹底的に排除されるもの。
血と汗。
人間は死ぬということ。

二人のダンスを見てソラは衝撃を受ける。
このパフォーマンスは「向こう側」に行き過ぎている。
こんなもの文化祭で認められる訳がない。
危険すぎる。
文化祭どころか社会的にもムリだ。

ソラが感じるのは痛み。
自分も同じものを持っている。
ソラの場合は美術を通して
その感覚を付き合おうとした。

正確に観察して分析し
画布の上に定着させようとした。
美術なら生々しいものを扱えると思った。
社会でのステータスを保ちながら、
内なる自分の感覚を扱えると。

絵を描いて、美大に入って、就職する。
就職して社会人として周りにとけこむ。
常識の範囲に踏みとどまり、
自分を確保したまま生きていける。

しかしムラサキたちの踊りをみて
ソラの良識がゆらいでいる。
ソラはいま境界線の上にいる。
自分で作り上げた常識の世界。

これを超えていけば
本来の感覚を取り戻すことができる。
「言葉も法も契約も自分も他人もなかったころの身体」
観察するのではなく、
みずから飛び込み当事者となって体験するのだ。

ソラは走り出す。
橋を渡ってムラサキたちのところへ。
ついに3人が合流した。

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