カボくんは口数が少ない。
吃音症を持っていて
しゃべるとどもってしまう。
それでも頭の中には言葉があふれている。
カボくんはトータルで考えるタイプ。
理性で割り切って判断しないようだ。
いろんなことが脈絡なくうかんで
連想ゲームのように思考が回転する。
伊折先輩とのダンスバトル、
ワンダさんとの関係。
むかし塾の先生にフラレたこと。
ダンスがうまくいくときの精神状態。
ダンスと自分の吃音症の関係。
ほっておくと際限なく
細切れのアイデアが流れていく。
ぜんぜん関係がないはずのことのなかに
とつぜん共通点が見つかるかもしれない。
カボくんとホトのおしゃべり
カボくんと対照的なのがホトだ。
ホトははっきりしている。
いろんなことを切り分けて
スッキリ考えることができる。
迷うことなくスラスラと考えをまとめられる。
ダンスはダンス。
女は女。
考えたことをはっきり言葉にかえて
カボくんに提供してくれる。
カボくんのダンスがうまくなれば
「はいカボくん!踊ってー!」
携帯で動画を撮ってTikTokに載せようとする。
ワンダさんの態度もキレイに分析する。
カボくんのことをどう思っているのか?
交際相手としてカボくんはありか?
ホトの結論では、なし。
思わせぶりな態度をとっているが
カボくんを恋愛対象としては見ていない。
過去の体験からカボくんのパターンを導き出している。
カボくんの独特な思考
ホトの明快な話にカボくんは何も返せない。
腕相撲をしながら、わきあがる感情をもてあます。
カボくんの思考は言葉では追いかけられない。
膨大な情報が顔の表情や体の動きに現れる。
カボくんのこういう性質は
ダンスの場合、いい方向に働く。
ホトだってカボくんの感情を受け止めているのだ。
言葉にならない感情をホトは受け取っている。
仲良し。
カボくんの思考は意外な方向に進んでいる。
「ダンスが上手く言っているときの精神状態」は
自分が吃音症から開放されて
うまくしゃべれている時の状態に近いのではないか。
なぜ自分は吃音症なのか?
上手く踊れるとき自分に何が起こっているのか?
カボくんはダンスと吃音を通じて
自分が何者なのかを考え始めている。
6話へ