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【ダンス・ダンス・ダンスール 考察】岩井先生の恋

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岩井先生の過去の恋愛が明かされつつある。
バシュラールとの関係をテーマにした作品を
潤平が見てしまった。

バシュラールとベジャール

バシュラールのモデルのひとりはベジャールだろう。
フランスの振付家だ。
ベジャールは東京バレエ団のために『KABUKI』を振り付けたように
バシュラールは生川バレエ団のために『GEISHA』をつくった。
ベジャールはもちろん同性愛者だ。

岩井先生と岩井半四郎

岩井先生とバシュラールは特別な関係だった。
どの程度だったか具体的には不明だが
若かりしころの岩井先生は
二人の関係をテーマにした作品を発表していた。

ぱっと見はアホらしい作品だ
おっさんふたりが手遊びを演じる。
だけど潤平はそれをみて感動してしまう。
そこには恐怖もある。
失望もある。
恋の喜びだけではない。

芸術家の誠実さは一般人とはちがうらしい。
自分の欲望に忠実であること、
プラスの感情もマイナスの感情もみとめて
すなおに従って生きる。

たとえ世間とは相いれないとしても
ありのままの生き方をしてみせる。
バレエダンサーなら、
バレエのかたちを使ってそれができる。
たとえば同性愛だ。

ゲイカップルのイチャイチャぶりを見て、
観客は社会の枠から開放される。
マインドコントロールを解いて自由になれるのだ。
不幸を生み出している原因が
自分の頭の中にある価値観だとわかれば
解決策が見つかるかもしれない。

漫画や小説や映画で
同性愛がドラマの主題になる理由はそこにある。
世間のルールとかけ離れたところに真実がある。
社会と相いれない真実を理解し、観客はいやされる。
岩井先生の振付の原点にも同性愛がある。

岩井先生の名前は岩井半四郎から来ているのではないか。
今でも続く歌舞伎女形の大名跡である。
写楽の浮世絵『四世岩井半四郎の乳人重の井』が有名。
写楽の描く岩井半四郎は異様だ。
女装するおっさんの特徴を精密に描き出している。
当然、きらわれた。

今までになかったものを表現する

写楽のデビューは華やかだったが
作品は売れなかった。
10ヶ月の間に浮世絵145点を発売し
あっというまに写楽は姿を消してしまった。
商売上は失敗。
ただし後世の評価はむちゃくちゃ高い。

コンテンポラリー作品を作るのは難しい。
今まで意識されていなかったものをくみ上げて
作品として観客へ提示する。
完成度高く、説得力をもってみせるところまではできても
それが観客を喜ばせるとは限らない。
失敗したら、芸人がスベるよりダメージが大きい。

潤平のコンテはこれからどうなるのか。
いろいろ葛藤をかかえこんでいるから
爆発的な表現を見せるかもしれない。

「なにをやっても下品にみえない」と
バンダ中村先生が認めた潤平の長所が
うまい具合に機能しくれればいいが・・・

そして『YAGP本選でのオリジナル振付』をマンガでどう描くのか。
続きが楽しみだ。

15巻発売日は12月12日

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