マガジンサード ラテン 社交ダンス

【#10DANCE #テンダンス #ネタバレ】#5巻#23.5話(後)

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シード権放棄を喜ぶ杉木先生

杉木先生が受付にあいさつを済ませ、試合会場にむかう。
キャップをかぶりサングラスをかける。
姿を隠してラティーナ鈴木の戦いを見に行くのだ。
女性たちが杉木先生を追い越して走っていく。
今日の試合はなにやら盛り上がっているらしい。

会場について杉木は目をみはる。
すでに鈴木が踊っていた。
「シード権放棄か!!」
おもわず笑顔になる杉木先生。
「まったく僕にも内緒とはひどい」
鈴木の暴走を喜んでいる。
杉木先生は変装のせいで今日は不良っぽく見える。

「なんかもう決勝戦観てるみたいだったね」
盛り上がる観客。
「体力もつのかな」
1次予選から出たらたくさん踊らなければならない。
5種目を3回(1次・2次・決勝)で、15回だ。
ふつうなら疲れてきて、踊りに影響する。

鈴木はベーシックしか踊らない

鈴木ペアは1次を余裕で突破する。
ベーシックしか踊らなかった。
基本の動きのみ。
飾りをつけない。
それだけで観客の目を奪ってしまう。
「あんな神がかったベーシック、誰が止められるんですか?」
審査の松永先生が鈴木父に話す。

2次ではアルが参加する。
世界チャンピオンペアの登場だ。
「おーい!アミーゴ!!俺だぁー!」
アルは浮かれている。
鈴木たちの横に陣取った。
世界チャンピオンのアルと日本チャンピオンの鈴木が並んで踊りはじめた。
アルは「カモの子」みたいに鈴木のあとを追う。

対決だ。
鈴木はあくまでベーシックのみ。
余計なものを足さない。
アルはテクニカルなものを披露する。
サービス精神おうせいだ。
観客の視線を鈴木から奪う。

禅のようにストイックな踊りと、華やかな楽しみにあふれたアル。
対照的な二組がフロアを沸かせる。
鈴木の頭の中には、帝王杉木の言葉がある。
「何故ベーシックが必要かって?」
「僕は大好きだからやるんです」
「最も強靭で美しい戦士のようなルーティンですから」
杉木は毎晩くりかえしベーシックばかりさらっていた。
終電がなくなって始発が出るまでの間ひたすらベーシックを踊っていた。

しかしベーシックだけで勝てるのか?
むかしベーシックだけで優勝した男がいた。
ニーノ・ツォルチ。
アルの師匠だ。
ベーシックのみで競技会を踊りとおし、1位をとってしまった。
もはや伝説的な神業である。
鈴木はニーノにも挑んでいる。

鈴木の世界が広がっているのだ。
杉木をとおしてアルを知った。
ニーノを知った。
いままで踊っていた「競技ダンス」が変わってしまった。
自分はもっと自由になれる。
「ワクワクで身体が爆ぜそうだ」
鈴木の高揚にアキは感応する。

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10ダンス6巻の発売日は3月18日

特装版がまもなく発売です。

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