嫉妬の感情か?とまどうカボくん
コンテスト結果は、優勝。
その上、ワンダさんがアッセイ賞をもらった。
コンテストで「最も輝いていた」個人に送られる賞だ。
カボくんは自分の意外な感情にとまどう。
素直に喜べない。
一凛高校で記念写真をとるときも顔が冴えない。
「なんかカボくん元気なくない?」
周囲も気づくくらい落ち込んでいる。
「明るくしてないと嫌われる・・・」
気い遣いのキャラが出現してきて、おもわず自分で自問自答してしまう。
感情をどう処理していいかわからない。
ワンダさんから取り残されるような気がして焦りがあるのか?
自分もほめられたかったのか。
「誰よりも褒められたい」
ダンサーにはそういう本能がある。
「競技ダンスのダークサイド」『ボールルームへようこそ39話』
ワンダさんはやはり会場の注目をさらっていた。
他校の生徒がワンダさんを質問攻めにする。
ダンスをやっているやつなら本物はわかるのだ。。
カボくんの心は晴れない。
なぜ自分はワンダさんのように話しかけられないのか。
本物ではないのか。
カボくんも認められて入るのだ。
中学からの同級生ホトがびっくりして話しかけてきた。
「すげえよお前」
「変わったな」
前から気になっていたバスケ部とのわだかまりが溶けた。
それでもカボくんの心は晴れない。
ワンダさんとくらべておのれの立場の低さを意識してしまう。
カボくんの自問自答
ワンダさんはアッセイさんに話しかけられた。
アッセイさんからも絶賛されている。
「おそらく君は一生踊る人間だろう」
「いつか気が向いたら俺の作品に出ないか」
「ダンスのことで迷ったら何でも相談してくれていい」
ほとんどスカウトされている。
アッセイさんは名刺までくれた。
カボくんは思わずアッセイさんのところに走り寄ってしまう。
「・・・な、なにか・・・。アドバイスとか・・・あれば」
アッセイさんはカボくんのダンスも覚えてくれていた。
しかしほめてはくれなかった。
「君ちょっとぶん回しグセがあるから」
「地道に可動域を広げていくことがダンサー寿命を伸ばすよ」
ごく基礎的な注意をされた。
貴重な助言だ。
だが精神的にきつい。
「あんなに近づいたと思ったのに何故かまた遠くに感じる」
帰りのバスへ向かいながら、カボくんはワンダさんを遠くで眺めている。
本番前に「だっせえ振り」と言ってきたやつが話しかけてきた。
「今日めっちゃ良かったっす」
カボくんをほめている。
井折先輩の友達だったらしい。
「だっせえ振り」というのはカボくんに言っていたのではなかった。
完全にカボくんの被害妄想。
「最悪だ・・・勘違いの上にチクリ野郎じゃん」
井折先輩に仲介されて、カボくんは自己嫌悪に陥る。
むしろめっちゃいい人なのに。
井折先輩からの誘惑
井折先輩がカボくんを誘惑する。
「お前はバトル向きだと思うよ」
「他人が作った決まった未来をなぞるより、即興のほうがずっと自由で生き生きできるタイプ」
ダンスのうまい人に今日初めてほめられた!
井折先輩は、カボくんに自分との共通点を見つけている。
それは即興。
カボくんは「深い音をガンガン拾って」アドリブで踊れる。
ワンダさんは確かにめっちゃ踊れる。
「お前が唯一湾田光莉を超えられる場所があるとしたらそれはバトル」
女性はなぜか即興をやりたがらない、という。
カボくんの心はまたぐらぐらゆれる。
バスに荷物を積むとワンダさんが話しかけてきた。
ワンダさんもカボくんが気になっていたらしい。
カボくんは井折先輩に誘われて即興のほうへ行ってしまうのか・・・
ワンダさんの表情を見てカボくんは我に返る。
「一瞬、湾田さんに嫉妬しそうになったけど、俺も追いつけばいいだけのことだ」
ワンダさんは確かにすごい。
だから自分も頑張ろう。
カボくんには「即興」という武器がある、らしい。
ふたりはバスの前で並んで記念写真をとった。