潤平とサシュコーの決裂
サシュコーはブランコへの想いを語る。
「ケガをしなかったであろう、彼の踊りのその続きを
未来を紡ぎたい」
もうあっちの世界へ行ってしまっている。
サシュコーはブランコになりたい。
ブランコ本人がもう踊れないのなら、
自分がかわりに「ブランコ」を襲名する。
ブランコが人間ではなく、
なにか天からの使命のようになっている。
潤平とは感性がちがう。
「今のブランコも俺はカッコイイと思うし・・・!」
「サシュコーはサシュコーでいいじゃん!」
にこやかにサシュコーの手をにぎる。
ブランコの踊りはブランコにしかできない。
影響を受けることはあるけど、なりかわることは無理だ。
しかしサシュコーは超絶テクニックを持つせいで
ブランコのコピーを踊ることができてしまう。
それがサシュコーの理想だから。
ブランコをコピーしてバレエの神になるのだ。
潤平はサシュコーと真っ向から対立する。
「・・・彼の願い全否定ですからね・・・」
大原田さんが冷静に解説。
サシュコーは潤平の手をはらいのけて行ってしまった。
潤平はなぜスカラシップを申し込まない?
結果発表の待ち時間に審査員が話しかけてきた。
「きみ、とてもおもしろいよ」
アムステルダム・ダンス・シアターの芸術監督だ。
潤平をほめてくれる。
コンテもクラシックもよかった。
シューズ・トラブルへの対応も好印象だったみたいだ。
ダイレクトにたずねてきた。
「どうして君はスカラシップを申請していないのかな?」
せっかくなら申請すればいいのに・・・
いろんな可能性が広がるし・・・
就職先もえらべるようになる。
潤平は英語がわからない。
大原田さんがくるまえに、中村先生が解説。
潤平は生川バレエ団に囲い込まれている。
先約済みだ。
名門ワガノワに留学予定もある。
生川からの出向あつかいだが。
大原田さんからのカミングアウト
しかし大原田さんから核心をつく指摘がはいる。
「潤平くんはグランプリとってブランコ氏に師事したいんですよね?」
生川バレエ団でなく、海外のバレエ団でもなく、ブランコ。
いあわせた全員がうろたえる。
大原田さんは潤平の言動をよこで見ていたのだ。
たしかに本人はそう言っていた。
そして「ブランコに師事」はぜんぜん可能らしい。
大原田さんは調査してくれていた。
あまりの落差に寿が興奮する。
バレーの経歴としてそんな選択はありえない。
あつく語って潤平をいましめる。
「ああ!!こわい!!!ありえない!!!」
もったいなすぎる。
ふつう、結論はシンプルだ。
「すごいダンサーがイコール、優れた教師ではないんだよ・・・!!!」
しかもブランコはただの「もとダンサー」
教えているわけではない。
オルガ先生も「お教室」の先生。
わざわざ他の道をすてて行くようなところではない。
潤平、決勝進出
自分は甘い。
「たまたま」の連続でここまできてしまった。
るおうやサシュコーと比べたらほんとにハッピーボーイだ。
それでも潤平は、ブランコへの気持ちにボーっとなっている。
うっかり生川をやめて、ニューヨークへ行ってしまいそうだ。
潤平はYAGP決戦に進出した
サシュコーもだ。
ブランコは車の中で予選結果をチェックしてしまう。
気になっているのだ。
うろたえる綾子先生
夜に綾子先生から電話がかかってきた。
夏姫と潤平への激励のためだ。
綾子先生だけでなく、夏姫父と弟も画面に登場。
プライベート感があふれる。
「ねーちゃん!母ちゃんやばいぜ!」
あの綾子先生がうろたえまくっている。
ふだんは鬼のように冷静に団員たちをぶったぎるリーダーが。
娘のコンクールで動揺しまくりだ。
「夏姫・・・次よ」
「夏姫」
「大丈夫かしら」
「大丈夫」
「かしらっ」
ギャップのはげしさに萌える。
コンクール修了まであと4日。
潤平はいまだにブランコのことが気になる。
「もう二度と、会えないかもな」