ムラサキの説明:ダンス部が目指すものは「自然」
翔之助のただならない雰囲気に、黒飛は飲まれてしまう。
あきらかにおかしい。
ただの準備運動なのに翔之助はただならぬ吸引力を発揮している。
ムラサキは黒飛をつかまえて説明する。
翔之助は異常なのだ。
「自然」をありのままにつないでしまう。
「自然」とは操作できないもの。
社会では隠されているもの。
危険な混沌、たとえば「死」だ。
そこにあることがわかっているのに
自分からコントロールすることができない。
今ここにいる自分の身体じたいが危険な「自然」だ。
普通の人はそういうカオスをまじまじと見たりしない。
それが社会のエチケットだ。
死体は隠すし、身体には衣服をまとう。
ダンスやヨガは「自然」にふれる行いである。
翔之助はあっという間に自然の領域に入ってしまう。
ムラサキたちのダンス部も、自然から目をそらさない。
「自然」に触れるのは宇宙人
黒飛はとんでもないところへきてしまった。
音楽制作がすきで、翔之助にインスピレーションを感じたことがきっかけでダンス部に来たが
別次元の感覚を解説される羽目になった。
やはり翔之助のダンスには異常感覚がある。
ムラサキの説明を、ソラが引き継ぐ。
翔之助はいわば宇宙人だ。
通常なら行けない領域にあっさり入って平気でもどってくる。
見るものは、わけが分からずあ然とする。
翔之助の領域に近づくための方法を、ソラは考えている。
「宇宙人になれないのならどうするのか」
黒飛へ説明を再開する。
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