ドラゴ赤太郎の殺気
赤太郎ば走り出した。
目の前で始まったダンスは、赤太郎にとって試合である。
武闘家どうしが出会い、すぐに立ち会いがはじまる。
赤太郎はそんな意識で動いている。
マリンちゃんを放ったまま、
まっすぐに翔之助をめざして赤太郎ははしる。
翔之助は背後からせまる殺気を直ちに感じ取った。
この感覚は知っている。
翔之助は殺気を殺気と感じていないのではないか。
特殊な感覚で、ダンスの一種として受け入れる。
禁足地で翔之助の体験
翔之助は赤太郎と同じものを経験したことがある。
地元、紫峰山(しほうさん)の禁足地(きんそくち)で出会ったのだ。
禁足地とはようするに立ち入り禁止エリア。
あぶない場所。
翔之助は禁足地で、赤太郎の殺気に似たものを体験した。
この41話では具体的な内容は語られない。
しかし何かまがまがしい、命のやり取りに類したイメージが提供される。
最後のコマに描かれるのは動物の頭部だ。
鹿だろうか。
切断されて、三宝にのせられている。
『もののけ姫」のシシ神がリアルになった物体である。
紫峰山では農耕文化の神々をまつるいっぽうで
まったく別の神をもまつっているという。
農耕より前の原始的な神。
翔之助のダンスは、神を乗り移らせる儀式でもある。
ドラゴ赤太郎の攻撃も翔之助は
コミュニケーションの一種として感じるらしい。
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