マシューのコッペリウスに感動
潤平はマシューのコッペリウスにひたすら感動する。
人形に魂を宿らせるため真剣に儀式をおこなう。
スワニルダを見つめるまなざしが切ない。
潤平はマシューから目を離せない。
寝たふりをしながらマシューのマイムに見入る。
スワニルダが動き出したときのマシューの喜び。
潤平も思わず泣いてしまった。
立ち上がってスワニルダを責めてしまう。
「こんなご老人騙して!」
「大事な人形壊して・・・!」
「なんてひどい・・・!!!」
すっかりコッペリウスの世界に入り込んだ。
潤平は素直すぎる。
マシューのアドリブ
マシューはリアルなコッペリウスだ。
コッペリウスとして自然に生きている。
ブランコの言葉の意味が見ているとよく理解出来る。
老人らしい歩き方、スワニルダを見る表情。
振り付けの最中にスワニルダが扇を飛ばしてしまった。
マシューはちょこちょこと扇を拾いにいきスワニルダに手渡す。
音楽とタイミングがバッチリ合っている。
みごとなトラブル回収。
マシィーはスワニルダを見守る老人になりきっている。
マシューはコッペリウスそのもの
マシューは潤平の居残りレッスンにも付き合ってくれた。
ブランコの指導をじっと見守る。
先日の真鶴からのアドバイスが効いていて
潤平は良くなっている。
居残りレッスン後は3人で食事になった。
潤平はマシューへの感動が止まらない。
食事しながらマシューの演技への称賛を伝える。
マシューは老人コッペリウスになりきっている。
自分はジュンペイのままなのに。
ところがマシューにとって潤平はフランツっぽいという。
「若いエゴ」がフランツらしい。
『コッペリア』自体がそういう作りになった演目だ。
若いカップルと孤独な老人の対比。
人生の悲哀が『コッペリア』の主題だ。
マシューは語る。
「バレエダンサーとして決して若くない私は
そもそもコッペリウスそのものなんだよ」
若者のようには踊れない。
老人はフランツの輝かしさに打ちのめされる。
その悲哀の情が演技に深みをもたらす。
もう一度ふたりでマイムをやってみよう。
マシューは追加レッスンを提案してくれた。
ブランコも
潤平がさきに店をでる。
ブランコと二人きりになるとマシューは提案する。
もういちど踊らないか。
潤平は素晴らしいが、若い頃のブランコにはおよばない。
ブランコは舞台に帰ってくるべきだ。
ブランコは断る。
今は潤平おしである。
たしかに潤平は若い頃の自分に及ばない。
しかし可能性がある。
本番で豹変する。
ブランコもまたコッペリウスの成分を持っているのだ。
動かないはずの人形を必死で動かそうとしてしまう。
コッペリウスはバレエ教師の話でもある。
わずかな可能性に賭けて、若い頃からの理想を実現しようと夢見るのだ。
コッペリウスが人形に魂を入れようとしたごとく
ブランコは潤平にマイムを踊らせようとしている。
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