ラブラブ生活
夏休みが終わり新学期。
潤平は黒島に振り回されている。
男友達のようにサバサバして
付き合いやすい奴と思っていたのに、
女子の顔を見せてくる。
黒島の気持ちに配慮して
精神的に満たしてやるなど
難度の高すぎる要求だ。
中学生男子には無理。
黒島に時間をとられ
レッスンに遅刻気味になる。
コンクールに向けて
YAGP用の特別プログラムで
潤平はレッスンしている。
要は基礎徹底。
千鶴から受けたのと同じ内容を
みっちりやらされる。
バレエの動きを正しく染み込ませ
コントロールできるようにする。
毎日深夜2時までバーレッスン、
終わると車で送ってもらう。
つらい。
るおうは発表会でジゼルを踊った。
都とのパドドゥ。
すごかったらしい。
るおうはすごい奴だ。
今になってひしひしと分かる。
天にアドリブをかまされて思い知った。
「クラシックバレエ」然とした
動きのおかげで舞台が保たれた。
基礎のない潤平の「ノイズ」を
るおうはバレエに仕立て上げたのだ。
バレエを知れば知るほど
るおうの力が分かる。
焦り
地道な身体づくりが続く。
食事制限とバーレッスン。
基礎。
基礎。
基礎。
るおうのように『ジゼル』を踊りたい。
るおうに勝ちたい。
今日もバーレッスンで終わってしまった。
思いあまって中村先生に尋ねた。
「流鶯の『アルブレヒト王子』が
10だとしたら、俺はいくつ位っ・・・」
中村先生の答えはシンプルだ。
「お前は0だ」
潤平は呆然と取り残される。
1ですらなかった。