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【パートナー ネタバレ】文庫版 第2巻 1

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「なんでもできる」というのはウソだ。

 




 

「踊り手は40の声を聞けばとむらいの鐘が鳴る
おまえは若づくりだがもう37だ」
(名香智子『パートナー』小学館文庫 第2巻 24ページ)
 

千香子(ちかこ)先生さいごの世界選手権

 
茉莉花(まりか)のかようダンス教室では、プロダンサーが教えている。
赤目(あかめ)と千香子だ。
ふたりは日本国内ではトップ選手。世界選手権優勝が悲願だ。
今回の世界選手権はチャンス。
なぜならチャンピオンがパートナーを替えて出場するからだ。
チャンピオンの新しいパートナーは、まだ18歳。
ルックスはよくても技術に劣るはず。
 

18歳が見せつける圧倒的なパワー

 
しかし世界選手権で新パートナーが見せたダンスに観客は目をみはった。
ふつうの限界を超えたスピードで、乱れることなく踊るのだ。
英国チャンピオンはまたもや優勝し、赤目と千香子は3位にあまんじた。
パトロンで夫でもある芥川から、千香子は引退を勧告される。
お前は年だ、やめろということだ。
 

競技ダンスでは、だいたい40歳には引退する。

 
とくに女性は体力がもたない。
パートナーの赤目はまだ26歳。
今後優勝するためには37歳の千香子では足をひっぱってしまう。
芥川の指摘はまっとうで論理的だが、そうそう簡単に受け入れられない。
いままで積み重ねた歴史があるから。
おそらくバレエに20年、競技ダンスに10年。
練習をかさねたあげくに、いちばんの支援者から宣告されたのだ。
「もうお前にこれ以上はない」と。
 

そして千香子はタバコをすう。

 
タバコは精神を安定させる。
引退のくだり前後で千香子はひたすらタバコをすう。
自分から競技ダンスがなくなってしまった。
30年間の積み重ねたあげく、これからやることがない。
そして千香子は神(じん)を誘惑する。
将来有望な若いダンサーと寝る。
 

「なんでもできる」というのはウソだ。

 
年をとるにつれて、できることは減っていく。
これは競技ダンスに限ったことではない。
残酷な真実だ。
だからこそ、今できることをやろう。








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