スタンダードとラテンのぶつかりあい。
ふたりの男の物語である。
どちらも社交ダンスの日本チャンピオンだ。
杉木がスタンダード、鈴木がラテン。
同じ世界で別々の部門にいる。
社交ダンスの種目が主人公のキャラになっている。
スタンダードとは?
ざっくりいうと上品で格調高い踊りだ。
種目は以下の5つ。
ワルツ、
タンゴ、
ヴェニーズワルツ、
スローフォックストロット、
クイックステップ。
男は燕尾服と蝶ネクタイを着用する。
ラテンとは?
ざっくりいうと情熱的で妖艶な踊りだ。
チャチャチャ、
サンバ、
ルンバ、
パソドブレ、
ジャイブ。
男はシャツのボタンを3つ4つ外し、
胸にネックレスを垂らしておどる。
同じ体格とほぼ同じ名前を持ちながら
ふたりは対照的な性格だ。
スタンダードの杉木は、誇り高く冷静。
ラテンの鈴木は、率直で情熱的。
どちらもイケメンだ。
ダンサーだから身体も美しい。
それぞれの部門の特徴がそのまま二人の気質になる。
杉木と鈴木が10ダンスを目指してぶつかり合う。
10ダンスとは?
ざっくりいうと総合だ。
スタンダード5種+ラテン5種。
合計10種を競い合うワールドカップ。
正反対の気質を踊り分けるセンスと、
1日で40曲を体力が求められるハードな競技である。
10ダンスで優勝するため杉木と鈴木は、教えあう。
ふたりは犬猿の仲だった。
親どうし仲が悪かったし、教室どうしも嫌い合っていた。
ラテンの鈴木は、杉木のスタンダードを見て思う。
「コイツが取り乱してぐちゃぐちゃに泣いてるとこを見てみたい」
以前からお互いを意識していたのだ。
杉木からスタンダードとラテンを教え合おうと提案があり、
鈴木はケンカを買うように受けて立つ。
夜のスタジオでふたりは密着する。
いや、ホールドの確認である。
手を握って、接触位置を探り合う。
どぎまぎを隠しきれない鈴木。
ラテンダンサーは感情豊かなのだ。
「いやここで2人で固まってる場合か?」
股間がコンタクトしている。
冷静さを破られる杉木。
杉木からの指摘に思わずビクッとのけぞる。
まだダンスどころではない。
道は遠い。