千鶴の制止
サマークラス4日目である。
今日も潤平は元気だ。
るおうを迎えに行く。
今朝は夢を見ていた。
「おばあ様」に厳しくバレエを仕込まれる夢。
るおうは、いつも無言で部屋を出てくる。
そしていつも同じポロシャツだ。
しかし今日は、廊下に千鶴が立っている。
待ち構えていた。
るおうと潤平に対する生川綾子の意図を感じたのだ。
サマークラスへ行くのを止めようとするが
潤平は振り切って出かけてしまう。
五代バレエスタジオに生徒を戻すためだ。
潤平はどこまでも単純な奴である。
るおうに対しても遠慮がない。
バレエ漬けだったるおうがうらやましい、
俺もダンスール・ノーブルを目指す、
とあっけらかんと言い放つ。
素直さが潤平の長所。
バレエ女子とのパ・ド・ドゥ
4日目の後半は、女子との練習だ。
潤平は平静でいられない。
レオタード姿を直視するのが辛い。
まだ中二だし。
バレエ歴が浅いし。
そんな潤平に都が近づいてくる。
「一緒に組めるといいね・・・」
顔を赤くしてヒソヒソ話はぐっとくるわ。
潤平もうわずってまともに話せない。
(俺もさ都――ッ。)
るおうと都
潤平と都の間に、突然るおうが割って入る。
「何言ってんの都。組むの僕とでしょ?」
「都は僕のお姫様になって、
ずっと守ってくれるって言ったじゃないか」
なんだと?!
ショックを受ける潤平。
このふたりの間には入れないんか!
結局るおうと都が組むことになる。
いちおう身長のバランスを取るため。
美男美女カップルである。
(キミたち両思いなワケ!?)
ツッコミは声にならない。
生川綾子の娘
潤平は夏姫と組むことになった。
昨日のピルエット勝負で潤平に拍手してくれた子だ。
まだ小学生。
だが自己主張が強い。
「わたしは都ちゃんみたく
あんたに合わせたりしないからね!」
むっとする潤平。
脇から寿が教えてくれる。
夏姫とはもめない方がいい、
生川綾子の娘だから・・・
波乱の予感がする。