潤平はどう評価されるのか?
サマースクール最終日8日目に
潤平は遅刻した。
クラス終了後強引に飛び込んで踊った。
転倒と即興を挟んだ潤平のヴァリエーション。
綾子にはどう評価されるのか?
観客からは拍手が上がった。
感動して泣いている奴もいる。
「メチャクチャするし、下手くそ」
なのに「あふれる、この高揚感」
「こんなのズルい」
生川綾子が絶対に認めないタイプの踊りだった。
やはり綾子は認めなかった。
振りを変えたことが許せない。
「村尾くんになんらかの才能があるのは認めます」
しかし潤平はクラシック・バレエ向きではない。
生川ではなく五代バレエスタジオで学んだ方がよい。
綾子の講評は冷たいが、説得力がある。
筋が通っている。
どうする?
スカラシップ決定
潤平は深々と最敬礼した。
「生川で!!こんな俺の質を
根底から叩き直してください・・・!!!」
綾子は念入りに確認する。
五代とは縁を切ったのか?
生川に100%従う覚悟はあるか?
綾子先生の目が怖い。
潤平は最敬礼のまま「はい!!!」
大声で解答する。
すごい14歳である。
こんなことができる子はそうそういない。
武道をやっていると、
このあたりの対応が鍛えられるのかな。
若いスポーツ選手は大人びていることが多いし。
潤平の答えをうけて綾子は決定をくだした。
・・・スカラシップは潤平へ。
失意の海咲
ほっとした。
見守る周囲のほうがはらはらしたわ。
スカラシップ決定を受けて
クラスは祝福モードである。
海咲は教室をひとり抜け出す。
「おめでとう」なんか言えるか。
あらゆる手を使って努力したのに
自分はスカラシップを逃した。
海咲は廊下で涙をおとす。
光と陰の、陰の部分だ。
ぜひとも海咲にも成功してほしいと思ってしまう。