社交ダンス

【ボールルームへようこそ ネタバレ】4巻15話

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天平杯さいごの踊り

ついにクイックステップがはじまるった。

たたらは無視しているが、

疲労がマックスにたまりきっている。

しかしこの瞬間を目指して

必死に練習してきたのだ。

たたらのために仙石が

特別に用意してくれた振り付けだ。

生徒をとらないはずの仙石が

わざわざたたらにレッスンをつけて

教えてくれたクイックステップ。

なんども受けた注意事項が

たたらの頭によみがえる。

ごく自然に体の動きが導かれる。

「バタバタ跳ねるな」

「頭の位置うるせえぞ」

「シャッセ、シャッセ、シャッセ」

「右足重心」

「3小節後スローカウントで

勢いをつけて滑り込む」

たたらはダンスを言葉で考えるのが苦手だった。

それが、仙石のレッスンを受けて変化している。

仙石の示す動きと、言葉が結びついて

たたらの動きを律している。

いつしか、たたらは仙石の指導に培われている。

破綻がはじまる

たたらのダンスは乱れはじめた。

「足が重いっ」

ホールドが崩れている。

体力不足だ。

「一歩一歩が見苦しくなってきたわね」

たたら達の状態を、マリサが的確に捉えている。

「実力にそぐわない派手なバリエーション」

「審査員の目をひくどころか悪目立ちしちゃってるわよ」

「中身のない不細工な踊りは不快でしかないわ」

たたらは初心者なのだ。

それなのにすべてのダンスを全力で踊ってきたのだ。

足りないものだらけ、

必死で力を振り絞って踊っている。

そのツケがいっきに押し寄せてきた。

ロックなダンス

たたらはブザマにおどっている。

下手すぎる。

見ていてムカツク。

それなのに魅力的だ。

どうしようもなく心ひかれる。

観客が思わず拍手してしまう。

鼻毛石さんがつぶやく。

「私はコレが見たかったんだ」

「目の前の者にのみダイレクトに伝わる高揚感」

「刹那的な一瞬のアピール」

「これが沸かせる」「惑わせる」

「彼はいま気持ちだけで踊ってるんだな」

競技ダンスとしては、

たたらのパフォーマンスはナシだろう。

でも、これがダンスの原点だ。

気持ちがあふれて体を動かす。

たたら達の興奮はガジュにも伝わる。

観客が沸き立つ。

踊りたい。

仙石も、清春もウズウズする。

まるでロックのライブのような

最高潮の盛り上がりだ。

 

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